Re: モンハン小説を書きたいひとはここへ!二代目!( No.27 )
  • 日時: 2014/04/20 14:14
  • 名前: ダブルサクライザー ◆4PNYZHmIeM (ID: WqHEZdAV)

 モンスターハンター 〜輪廻の唄〜

 三十五章 誤解巻き起こる朝

 夢を見ていた。
 それはニーリン曰くの、銀色のレウスシリーズを纏ったカトリアの姿だった。
 その彼女の表情は、恐怖と悲しみに歪み、その場で膝を地面に着けて座り込んでいた。
 次に分かったのは、この世界で自分が動けるということだ。
 カトリアさん、もう怖くないですよ?
 そう言って彼女を立ち上がらせようと手を差し伸べる。
 だが、不意にカトリアの周りに黒い影が立ち込めた。
 黒い影は次第に分裂し、三人の人の姿になると、それぞれがカトリアにまとわりつく。
 それはまるで、カトリアを行かせたくないとばかりに、縛り付けていた。
 無理矢理彼女を掴もうとするが、黒い影が何度も手を払い除ける。
 何度もそうしている内に、黒い影は大きくなり、カトリアを蝕むように包み込んでいく。
 やめろ!カトリアさんを離せっ!
 いつのまにか、武器を握っていた。
 その握った刃で、黒い影を斬り裂いた。
 しかし、斬られた影はまたすぐに元の形に戻るとカトリアを妖しく染めていく。
 やがて、カトリアの姿までもが黒い影となってしまった。
 俺は無力だ。
 不意に世界が黒く歪み、泥濘に沈むように意識が無くなっていくーーーーー。

「ぅ、ぁあ……?」
 アストはベッドから転げ落ちた。
 背中から鈍い痛みが走って、瞬間的に脳を活性化させる。
「ってて……俺ってこんな寝相悪かったっけ?」
 アストは痛む背中を擦ろうと背中に手を伸ばすが届かないもどかしさを感じていた。
 もどかしさ。
 先程の夢の中で、そんな感情を覚えたような気がした。
 思い出せそうもないので、アストは再びベッドに潜り込んで眠りにつき直した。

「おはよーごさいまーすっ!このシオン・エーテナによるっ、モーニングコールのスタートでーすっ!」
 何か聞こえた気がしたが、微睡みは離してくれない。
「今日の天気は晴れっ、気温はちょーっと暑くてっ、ナグリ村をさらに熱くしてくれまーすっ!いやーっ、絶好の狩り日和ですねっ!」
 ハッキリ言って、うるさい。
「って、夜更かしでもしてたか知りませんけどいつまでも寝てるんじゃねーぞこのバカ野郎ですよアストさんっ!!」
 目を開けてみると、なんだかちょっと怒ってそうな雰囲気を出しているシオンの姿が見えた。
「やっと起きましたかっ。もうルピナスさん朝ごはん作ってますよっ。ほら早く起床洗顔歯磨きして着替えくださいっ」
「んむ……あと、五分……」
「そんなもん誰が信じると思ってるんですかっ。五分とか言いながらあと一時間寝るんでしょうっ」
「ぃゃ、あと五時間……」
「な・が・い・で・すっ!!」
 朝一番に、シオンの咆哮がナグリ村に轟いた。

 シオンの言う通り、もう他のメンバーは食卓に集まっていた。
「あらぁ?アストくんがお寝坊さんなんてぇ、珍しいですねぇ」
 ヤングポテトのポテトサラダを運びながら、ルピナスはアストの寝ぼけ眼を見ながら微笑む。なんと言うか相変わらずのマイペースだ。
「まぁ、昨日は疲れていたのだろう。仕方あるまい?」
 ニーリンはアストとルピナスを見比べながら諭す。
 アストとニーリンの目が合った。
「ってニーリンさん?何で普通にウチの食卓に馴染んでるんですか?」
 その長身と赤髪は見間違えないと思うのだが、あまりにそこにいるのが当たり前のように見えた。
「馴染んでいてはいけないか?クリティア殿からは快く迎えてくれたぞ」
 何が悪い、と言いたげな顔をアストに向けるニーリン。
「いえ、何でもありませんでした」
 アストはもう反論を止めた。
 正直、寝起きで頭が回らない。
 いつもの定位置、カトリアとライラの間の席に着こうとする。
「あっ……」
 席に着こうとした時、カトリアと目が合った。
「おはようござます、カトリアさん」
「おっ、おはっ、おはよう……」
 アストは普通に挨拶するが、なぜかカトリアは挙動不審に挨拶し、アストから目を逸らした。
「んー?どうしたのよ、カトリア」
 ライラは訝しげな表情をカトリアに向けた。
「なっ、何でもないのっ。何でもっ」
 カトリアの頬は何故か赤くなっている。
(昨日、狩り場からずっとアストくんにくっついてたから恥ずかしい、なんてもっと恥ずかしくて言えないよぉっ……!)
「カトリアさん?俺がどうしたんですか?」
「うぇっ!?わたっ、私っ、口にしてたっ!?」
 耳ざとく反応するアストに、カトリアはさらに慌てる。
「……怪しいです、カトリアさん」
 エリスはジト目でカトリアを睨む。
「あーっ!さてはさてはさてはっ!」
 シオンは激しく反応する。
 そして、とんでもない爆弾を放り込む。
「アストさんと団長っ、私達の知らない間にあーんな関係やそーんな関係になってたんですねっ!?」
 ………………
 …………
 ……
「「はぁ!?」」
 アストとカトリアは同時に驚いた。そのシンクロ率はゼロコンマのズレもない。
「あらあらぁ、お二人ともおめでとうございますぅ。今夜はお赤飯ですかぁ?」
 ルピナスは眉一つ動かさずにニコニコしている。
「……アストさん、不潔です」
 何を勘違いしているのか、エリスは頬を真っ赤にしながらアストを睨む。
「えっ、そうだったんですか?私、全然知りませんでした」
 真に受けるマガレット。
 そしてシオンの放り込んだ爆弾の周りに油を注ぐのはニーリン。
「まぁ、私も見ていたぞ。確かに昨日のイレーネ殿は激しく悶えていたな。胸を噛まれて、さらには縛られ、そこから侵されかけていたのだから」
 最もそれは、昨日の狩り場のことだ。
 確かにカトリアはドスゲネポスに銀色のレウスメイルの胸部を噛みつかれていたし、ネルスキュラの糸に縛り上げられ、鋏角による毒に侵されそうになっていた。
 しかしニーリンのその発言は、現場を知らない者からすればそれはとてつもなく卑猥に聞こえるものだ。
 そして、その矛先は当然男であるアストに向けられるわけで。
「きゃーっ、アストさんえっちですっ!」
「……アストさん、死んでください」
「あらあらまぁまぁ、アストくんったら大胆ですねぇ」
「そんな、アストさん……私信じていたのに」
 シオン、エリス、ルピナス、マガレットは四者四様の反応を見せる。
「ちょっ、違いますってば!ニーリンさんも誤解招くようなこと言わ……」
 不意に、アストの頭がガッチリ掴まれる。
 その方向は、眉間をピクピクと震わせるライラ。
「なぁアストクン?アタシちょっとボーンヘルム作る依頼されてんだけどさ、謎の頭骨ちょーだい。もちろんアンタの」
「いっ、やっ、待っちょっ、ごかっ……」
 アストはライラの目が笑ってない笑顔に畏怖する。
 セージも現場を知っている者なので、この有り様を見て呆れただけだった。
 カトリアの弁解もあって、どうにか誤解は解けてくれたのは、一時間も後の話だった。