Re: モンハン小説を書きたいひとはここへ!二代目!( No.297 )
  • 日時: 2014/05/05 14:13
  • 名前: ダブルサクライザー ◆4PNYZHmIeM (ID: cO738JC6)

 モンスターハンター 〜輪廻の唄〜

 四十九章 安らぎの一時

 ワルキューレがチコ村より出航して、一晩が明ける。
 ここからバルバレ周辺の港へは遠回りになるため、三日を要する。
 その三日間でも、アストは己を休めたりしなかった。
 その手には剣と盾を持ち、一心不乱に振るっていた。
 それは、いつもの片手剣ではなく、チャージアックス、精鋭隊討伐盾斧だ。
「もっと肩を使えニャ、足腰もしっかり踏み込まんと、重量に身体を持っていかれるニャ」
 チャージアックスの使用を指導するセージと、精鋭隊討伐盾斧を振るうアスト。
 ゴア・マガラとの戦いは近い。
 それまでに、少しでもチャージアックスという武器を身体に覚えさせなくてはならないのだ。
「今はモンスターを相手に出来んがニャ、本番はチャージによるアックスモードも使うんだニャ。せめてソードモードだけでも完璧になれニャ」
「おう!」
 
「精が出るな、アスト」
 それを遠くから見ているのはツバキ。
 それに触発されてか、彼とは反対側の甲板で斬破刀を素振りする。
「ふっ……はっ……!」
 アストの荒々しい素振りとは対照的に、ツバキの太刀筋はあくまで滑らかでしなやかだ。
 太刀という武器は大剣と似た武器ではあるものの、大剣は質量を活かして叩き潰すような斬撃に対して、太刀は研ぎ澄まされた刃による斬り裂くような斬撃を持つ。
 繊細な武器であるが故にその重量は軽く、素早く立ち回ることが出来るのも太刀の長所のひとつだ。

「二人とも、頑張ってますね」
「そうですねぇ。お邪魔するのも何ですしぃ、ここでいただきましょうかぁ」
「……お腹空きました」
 ユリ、ルピナス、エリスの三人は訓練をするアストとセージ、ツバキを見守っていた。  
 今日の昼食は、ココットライスによるおにぎりだ。
 カトリアは今後の予定のために、ライラはアストのためのチャージアックスを作っており、シオンはユリとツバキのために必要な費用を算段し、ニーリンはライラの代わりに操舵に移っており、マガレットは診療所で待機している。
 見守るように甲板に座る三人。
 だが、セージがそれに気付いてかアストを制止させ、ツバキにも呼び掛けると、揃ってやってきた。
「昼食ですか?ルピナスさん」
 アストはその皿に並んだおにぎりを見ながらルピナスに訊く。
「はいぃ。一緒に食べようと思ってたんですよぉ。さぁ、座ってくださぁい」
 ルピナスにそう言われて、アストとツバキとセージもルピナスからウェットペーパーを受けとり、手を拭く。
 五人と一匹が円状に座ると、ルピナスは手を合わせる。
「ではぁ、今日も農村の方々の頑張りを感謝しながらぁ……」
「「「「「「「いただきます」」」」ニャ」
 皆一斉におにぎりを手に取り、頬張っていく。
 美味しいかどうかなど、言うまでもない。皆の美味しそうな頬を見ればわかる。
 時折お茶を淹れながらも、おにぎりはあっという間になくなった。
「ふー、ごちそうさんでした」
 アストは満腹そうに一息つく。
「ルピナスさんのご飯って、本当に美味しいですよね」
 ユリは丁寧に口の回りを拭く。
「あらぁ、ありがとうございますぅ」
 ルピナスは変わらずにニコニコと答える。
 セージは立ち上がるとアストに向き直る。
「続きはまた夕方からニャ。それまでに休んでおけニャ」
「あぁ。頼むぜ、教官」
「お前の教官になった覚えはニャいがニャ」
 いつもの軽口のやり取りを終えると、セージは船室へ入っていく。
 その後ろ姿を見送ると、ツバキもアストに向き直った。
「お前も大変だな、アスト」
「まぁな。でも、少しでも皆のために頑張らないといけないからな」
 アストはウェットペーパーをもう一枚もらい、顔の汗を拭き取る。
「さって、ちょっと昼寝でもするかな」
 アストは立ち去るために立ち上がろうとする。
「あらぁ、お昼寝ですかぁ?」
 ルピナスに引き留められる。
「でしたらぁ、ここで皆一緒にお昼寝しませんかぁ?」
「えっ……?」
 それはつまり互いに無防備な姿を晒すわけで。
「いいですね。今日は暖かいですし、私はいいですよ?」
 ユリはそれは名案だとばかり頷く。正気か?
「……私も賛成です」
 エリスまで。
 ツバキは一瞬怪訝そうな顔をしたが、すぐに元の表情になる。
「ユリがいいなら……その前にアスト」
 アストに目を向けるツバキ。何を言いたいかは露骨に目が言っている。
「ユリに手を出したらぶっ殺す」と。
 アストはその殺意の混じった薄紫色の瞳に一瞬すくむ。
「大丈夫ですよぉ、ツバキくん。アストくんならぁ……」
 ルピナスは微笑むと、アストを手招きする。
 それに近づくと、不意に肩を掴み、アストの背中を自分の前に持ってくると、頭を下ろしてくる。
 この形は、『膝枕』だ。
「私がぁ、こうして押さえておきますからぁ」
「あの、ルピナスさん……?」
 アストは頭をルピナスの膝に乗せられて戸惑っている。
 これはこれで嬉しいが、恥ずかしい。
「あ、いいなぁ。ルピナスさんのお膝。私も入っていい?」
「「なっ!?」」
 ユリの爆弾発言。
「……羨ましいです……わ、私も……」
 エリスもどこかモジモジしながら近寄ってくる。
 この状況は美味……ではなく、危険だと感じたアストは逃げようとする。
 が、ルピナスにしっかり止められてしまう。
「どこに行くんですかぁ、アストくぅん?」
 ルピナスはニコニコしながらアストの頭を元の位置に戻す。
 理性に困難な戦いを強いるしかなさそうだ。
「ユッ、ユリッ!」
 ツバキはあくまでユリを止めようとするが、もうユリはアストの右隣、ルピナスの右膝の半分に頭を置いている。
 エリスも負けじと(?)アストの左隣、ルピナスの左膝の半分に頭を置く。
 多少の上下はあるが、一人の膝に三人横になっている。
「ツバキくんもどうぞぉ?」
「おっ、俺もですかっ?」
「もちろんですよぉ。あと一人くらいなら大丈夫ですよぉ」
「いやっ、でも……」
 ツバキは一瞬思考をフル活動させ、すぐに止めた。
「わ、分かりました……」
 そう言うと、ツバキはそっと入ってくる。
「お前もかよッ!?」
 アストは酷く驚く。
「仕方ないだろ、ルピナスさんが入ってって言うし……」
 そっと、ツバキはアストとユリの間に入ってくる。
「それではぁ、おや…すぅ……」
 ルピナスは即行で眠ってしまった。
 アストは諦めてこの状態で昼寝することにした。
 ふと、いい匂いが鼻をくすぐる。
(ユリ、じゃないな。エリスも違う……)
 では、ルピナスかと思うが、もっと近くからだ。
(ツバキ、か?でも、なんで女の子が使うような香水を……?)
 アストが悩む内に、ふと眠りに落ちてしまう。

 そこは、とても可愛らしく、羨ましい光景が広がっていた。