Re: モンハン小説を書きたいひとはここへ!二代目!企画決定!( No.519 )
  • 日時: 2014/05/30 08:28
  • 名前: ダブルサクライザー ◆4PNYZHmIeM (ID: oWGg04yX)

 モンスターハンター 〜輪廻の唄〜
 
 六十三章 魔の手はすぐそこに

 高山病に疾患してしまったアストは、村で安静を取っていた。
 ハンターだと言うのに、高山病などにかかってしまうなど情けない。
 アストはそう自分を責めていた。
 酸素ボンベに繋がれた今の状態は楽だ。新鮮な酸素が身体中を満たしてくれる。
 とにかく今は酸素を取り入れて、回復を待つしかない。
 ふと、マガレットが心配そうな顔をして近付いてくる。
 それを見たアストは、喋れない代わりに微笑みで無事を伝えようとした。
 マガレットはその作りの微笑みでも安心してくれたように見えた。
 
 アストがいない中、ニーリン、ツバキ、セージは狩り場に来ていた。
 天空山。
 切り立ち、そびえ立つ山々の中に狭い山道が広がるような狩り場だ。
 地形の高低差が激しく、飛行手段を持たない生物にはとっては困難を強いられる。
 狩り場の様子を調べるため、今は二手に分かれることになった。
 ガンナーであるニーリンにセージがついてやり、ツバキは単独になる。
 一応、大型モンスター発見を即座に知らせるためにペイントボールをポーチの一番上に持ってきておく。
「では、私とオトモくんは山頂と峠道を調べるよ。セルジュくんは麓周辺をお願いしたい」
 ニーリンがツバキに指示を出す。
「了解」
 ツバキがそう応えると、二手に別れていく。

 エリア3。
 切り立った崖と蔦が繋がる、天空山の中でも特に厳しい地形なってある。
「グウゥッ」
「グギャアァァァッ」
 空を見上げれば、黒い翼の生えたモンスターが上空を翔んでいる。
 ニーリンとセージの存在に気付いてか、それはゆっくりと高度を落としてくる。
「確かアレは、ガブラスとやらだったかな?オトモくん」
「ウンニャ。吐いてくる毒に気を付けろニャ」
「吐かせる前に仕留めるさ」
 ニーリンは妃竜砲【遠撃】を展開させて、通常弾を仕込み、まだかなり上空に滞空しているガブラスに向けて放った。
「グギャオォォッ!?」
 まさかこの距離で攻撃してくるとは思わなかったのか、ガブラスは驚いて体勢を崩して墜落してきた。
「ほれ、撃ち落としたぞ。オトモくん」
「やるじゃニャいか」
 セージは墜落してきたガブラスにすかさず接近し、ラギアネコアンカーでガブラスの頸椎を破壊する。頸椎を破壊されて生きれる生物などいない。ガブラスはその瞬間で息絶えた。
 ニーリンはもう一頭のガブラスも墜落させ、セージが止めを刺す。鮮やかなコンビネーションだ。
「さすがだニャ、深緑の流星?」
「その言葉、皮肉と受けるぞ?オトモくん」
 ニーリンとセージは互いに小さく笑った。
 が、それも一瞬だった。
 一人と一匹の嗅覚に馴染みのある刺激臭が漂う。
「もう見つけたようだな」
「案外早かったニャ」
 地図上の方向で言うところの、エリア2だ。
 ニーリンとセージは駆け出す。

 エリア2。
 巨大な切り株を中心に、蔦によって上下分かれるエリアだ。
 ツバキは斬破刀の柄を握ったまま警戒していた。
「ヴォゴォウゥッ」
 目の前にいるのは、桃色の牙獣、桃毛獣ババコンガだ。
 何度も狩ったことがある相手だ。本来なら警戒する必要などありはしない。
 が、このババコンガはツバキの知っているババコンガではない。
 血走っているような目、口から不気味な色をした煙を洩らし、体色もどことなく暗い。
「カトリアさんの言っていた通りか……」
 何もかもが、カトリアの事前情報通りだ。
「ヴォッホヴォッホヴォッホッ!」
 ババコンガは突然ツバキに突進してきた。
「早いっ……!」
 予想外のスピードに、ツバキはギリギリで回避に成功する。
(それにあの口から洩れている煙、どこかで……)
「ヴォゴォォォォォォウゥッ!」
 不意にババコンガは後ろ足で立ち上がると、誰もいない方向にオナラを放った。ババコンガの臀部からいかにも臭そうな茶色いガスが漂う。
「っ?何をやっているんだ?」
「ヴオッヴオッヴオッヴオッ、ヴォゴォウゥッ」
 次にババコンガは岩盤に向かって連続ラリアットをぶつけている。
「何だこのババコンガ……やっぱりおかしいぞ?」
 ツバキは得体の知れない何かを感じていた。
 自分の知らない内に、とてつもない何かが動いていることにだ。
 とは言え、いつまでも様子を見ている分けにもいかない。
 ツバキはババコンガに攻撃を仕掛ける。
「せいぃっ!」
 まずは一太刀。
 だが、硬い。本当に毛を斬っているとは思えないほど硬い。通常のババコンガなら易々と刃を通すのだが、このババコンガは簡単には斬れない。
「どうなってるんだ……?」
 ツバキの中で猜疑心が増幅してくる。
 ここはセージとニーリンの合流を待った方が良さそうだろう。
 そう思っている内に、セージがやって来た。
 ニーリンがいないのは、狙撃に回っているからだろう。
「おかしニャババコンガだニャ……気を付けろニャ」
「あぁ、さっきから警戒レベルは最大だよ……!」
「ヴォゴォウゥゥゥゥゥッ!!」
 ババコンガは飛び上がってそのまま押し潰そうとしてくる。
 とは言え、見慣れた攻撃に代わりない。ツバキとセージは回避する。
「仕留めるニャッ!」
 セージはラギアネコアンカーを抜き放った。