Re: モンハン小説を書きたいひとはここへ!二代目!企画発表!( No.742 )
  • 日時: 2014/06/10 21:35
  • 名前: ダブルサクライザー ◆4PNYZHmIeM (ID: QUuSXvqS)

 モンスターハンター 〜輪廻の唄〜

 七十章 持つべきは最高の仲間達

 シャガルマガラとの決戦が近くなりつつある中、ミナーヴァは着実にその準備を整えていた。
 アスト達ハンターは装備面では最後に狩ったリオレウスで素材は揃っていたが、秘薬などの薬品の調合素材の調達に狩り場へ赴いていた。
 ライラは三人分の武器と防具の作製、及びそれらの強化に日夜工房に籠っている。
 エリスは絶えずシャガルマガラの情報を探っており、何か少しでもと、シナト村の村長の文献を漁ったり、ギルドからの通達を目に通してはカトリアに報告を繰り返す。
 ルピナスはやはり、毎日と変わずに美味しい食事を作ってくれている。
 シオンは交易の難しいこのシナト村でも、太く長いパイプを張り巡らせており、各地からの道具や素材を取り入れている。
 マガレットはエリスと共にシャガルマガラの、その狂竜ウイルスについて調べ、その間にもアスト達が採集してきた素材で各種薬品の調合を承っている。
 ユリはアストの側にいようとしながらも、手伝える範囲で他のメンバーの手伝いに走っている。
 そんな中、今日のアストは狩りを休めていた。
 ライラに装備の強化を行っているため、今は狩りに出ることは出来ても大したことは出来ない。それくらいなら身体を休めた方が賢明だとカトリアに諭されての事だが。
 と言うわけで、アストは村から出ずに、ルピナスの所でドスビスカスティーを貰っていた。
「はぁい、ドスビスカスティーですよぉ」
 ルピナスはカップとポットを持ってくると、アストの目の前に置いた。
「ありがとうございます、ルピナスさん」
 アストはルピナスに礼を言うと、ポットの中のドスビスカスティーをカップに注ぐ。ティーの香りがほんのりと漂う。
「ふー……」
 そっと息を吹き掛けて冷ますアスト。
 ミナーヴァに所属するまでは紅茶など興味も無かったが、これもルピナスの淹れる紅茶のおかげだ。今ではすっかり紅茶が好きになっている。
「アストさんアストさんっ、お隣いいですかっ?」
 声に振り向くと、シオンが既にアストの右隣に座っている。
「もう座ってるじゃないか。まぁ、いいけどさ」
「細かいことは無しでお願いしますっ。あっ、ルピナスさーんっ。私はコーヒーでお願いしますーっ!」
 シオンは相変わらずのテンションでルピナスにオーダーする。
 背を向けながらもルピナスは「はぁい、コーヒーですねぇ」と受け答える。
 少し待つと、ルピナスはシオンの元にコーヒーを持ってくる。
「はぁいおまちどおさまぁ。シオンちゃんはぁ、ブラックでいいですねぇ?」
「はーいっ、ありがとうございますっ」
 シオンは嬉しそうにコーヒーを受け取ると、何もかけずに口に近付ける。
「シオン、ブラックでいいのか?」
 アストは意外そうな顔でシオンとそのブラックコーヒーを見比べる。
「大人への第一歩ですっ。ブラックを飲むことでライラさんやニーリンさんみたいな『ぼんっきゅっぼーん』な身体になると信じてこうして苦くても飲んでるんですっ」
 シオンは嬉しそうな顔を苦そうな顔に変えながら、アストにブラックに拘るわけを言い張る。
「……」
 多分、と言うかそれは絶対に関係無いと思うぞ?とアストは心底で思った。
 牛乳を飲んだり牛肉を食べればスタイルが良くなると言うような話はアストも聞いたことがあるが、ぶっちゃけ迷信だ。
 シオンのように、早く大人になりたいと言うのは分からないでもない。
 真剣そうなので、アストは敢えて突っ込まないでおく。
「シオンちゃん?ブラックを飲んでもぉ、おっぱいは大きくなりませんよぉ?」
 そこへ容赦ない一撃を放つのはルピナス。
 ガタッとシオンはカップをテーブルに落とす。既に飲み干しているので溢れはしない。
「んななっ、本当ですかルピナスさんっ!?」
「えぇぇ。本当ですよぉ」
「うげげーっ、私の苦労がーっ!」
 シオンは変な言い回しを使いながら『ガーン』という擬音が聞こえなそうなほど落ち込む。
 そりゃそうだろうよ、とアストはドスビスカスティーを飲み終えると、カップとポットをルピナスに返し、食事場を後にする。
「はぁ?コーヒーで胸が大きくなるわけないでしょうが。コーヒーなんかでこれ以上大きくなってたまるかっての」
「あうぅーっ、ライラさん鬼ですぅーっ!」
 ライラもその話に入ってきたらしい。
 
 特にやることもないので、以前にニーリンと二人でいた村の外れに、アストは座っていた。
 風が心地好い。
 高山病にかかった時は驚いたが、今では問題なく動ける。
「あ、アストくん」
「……アストさん?」
「アストさんですね」
 一人風に吹かれていると、後ろからユリ、エリス、マガレットがやってくる。
 どうやら先程までシャガルマガラについて調べていたのだろう。
「何してるの?」
 ユリが真っ先にアストの右隣に座る。
「……む」
 負けじと、エリスはアストの左隣に座る。
 マガレットはどうしたらいいか迷ってから、ユリの隣に据わった。
 むしろどうしたらいいのか迷うのはアストなのだが。
「ねぇアストくん。私は、アストくんのこと好きだからね……?」
 頬を赤く染めながらユリはアストの肩に寄り添う。
「……むむ」
 エリスもユリと同じようにアストの肩に寄り添う。
 そして、ユリとエリスの視線がぶつかり、火花を散らす。
「っ!」
「……!」
 マガレットはとりあえず仲裁しようとアストの正面に回る。
「お、お二人とも喧嘩はダメですよ、喧嘩は」
 しかしマガレットの言葉に、ユリとエリスはキッと睨み返す。そして……
「私の方が好きだもん!」
 ユリはさらにアストの肩にくっつく。柔らかな感触がアストの腕に直撃する。
「……負けません!」
 エリスもより大胆にアストにくっつく。なんとも言えない感触もアストの腕に直撃する。
 マガレットは右往左往しているばかりでアストを助けようとしない。いや、出来ないでいた。
「二人とも、ちょっと落ちつ……」
「アストくんは!」
「……黙ってください!」
 もうアストは何も言えなくなってしまった。
 女同士の戦いはまだまだ続きそうだ。

(カトリアさん……)
 アストの心の中では、どんな状況であれカトリアの笑顔が脳裏に映ったままだった。