Re: 【2‐6更新】書き物的なもの【0‐2修正】( No.48 ) |
- 日時: 2013/06/25 11:29
- 名前: ゴースト (ID: sxR1yKrE)
この先を勝手に予想してみると。
主人公の少年と、あの女の子、最終的には敵同士で再会しそうな気がします。
「どうして! どうしてなんだアンナ!」 「ごめんなさい……。でも、しかたなかったの!」
さあ、どうなる? |
Re: 【2‐6更新】書き物的なもの【0‐2修正】( No.49 ) |
- 日時: 2013/06/25 12:11
- 名前: それだけの話 (ID: mKllxhO9)
>>48 では、ちょっと続けてみましょうか。
レイは、アンナの隣で不気味な微笑みを浮かべている男に厳しい視線を叩きつける。 「お前がッ!! お前のせいで!!」 しかし男の微笑みは変わらない。 「違うよ。これは彼女が選んだことさ。僕は少し手を貸してあげただけ」 「ふざけるな!! お前だけは絶対に許さない!!」 「へぇ、許さなければどうするんだい?」 レイは武器を抜き放ち、全力でロキに向かって打ちかかる。 「貴様を……倒すッ!!」 ロキもすかさず自らの武器を抜き、激しい金属音を響かせながら真正面からレイの攻撃を受け止める。 「やってみなよ、できるならね!!」
あれ? どうしてこうなったんでしょう?(笑)
なんだかスピンオフが一本出来てしまいそうな気がします(笑)
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Re: 【2‐6更新】書き物的なもの【0‐2修正】( No.50 ) |
- 日時: 2013/06/25 14:54
- 名前: 「」 (ID: JapK50tg)
>>49 某司令官の言う通り人間同士の殺し合いで人類滅亡とかなったら洒落にならんな
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Re: 【2‐6更新】書き物的なもの【0‐2修正】( No.51 ) |
- 日時: 2013/06/26 15:50
- 名前: しろ (ID: M9be2r.G)
>>47 支援ありがとうございます('∀'*)
>>48->>50 和解できず敵対するという構造ができあがってるw まだまだ序章ですので、どのような運命へとたどり着くのか… 遅筆ですけども、お付き合いくださいませ(*・ω・)*_ _))
げーむみたいに マルチエンドにしても面白そうですねw
スピンオフまで作ってもらえるような作品にしたいなぁー
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Re: 【2‐6更新】書き物的なもの【0‐2修正】( No.52 ) |
- 日時: 2013/07/01 20:24
- 名前: しろ (ID: zrBnjmGg)
夜の帳が下り、セズナは闇の淵へと沈む。 次々と闇に飲みこまれてゆく中、ポツリポツリと小さな明かりが灯る。 街に住まう住人達の家に点く、暖かな淡い光だった。 そして狩猟居住地区にあるとある小さな一軒の建物にも暖かな光が灯った。 その建物の壁は独創的であった。 周囲の建物は普通に木造や石造りの壁であり、小奇麗である。 それに対しこの建物は木造の作りであるのには変わりはないのだが、所々に獣の皮を装飾として飾ってあった。 まるでそこに住まう者達の力を誇示しているようだ。 だが、その毛皮が飾られていない箇所には、ところどころに板で補修した跡が嫌でも目につく。 そこまで新しい建物ではないことが一目でわかる程に古い。 そして一番の注目すべきところは建物の入口と思われる扉の上に掲げられた木の看板に書かれた文字。 そこにはデカデカと『白銀の空』と汚い文字で書きなぐられており、その下には小さく『傭兵団』の文字。
「おらぁ!新入り!元気がねぇぞぉ!? 」
そこに住まう傭兵達の荒々しい声が補修された壁から外へと漏れ出ている。 その建物では新たな団員を祝うための『祝賀会』が催されているのだった――。
狭い室内では、何十人もの団員達が乱雑に置かれているテーブルに各々陣取り、酒を酌み交わしていた。 飲み散らかされた酒瓶が床にいくつも転がり、歩くのに苦労するほどである。 壁には『新入り歓迎』と乱雑に書かれた木の板が飾られ、その板の下に置かれた特別席に本日の主役がいた。
「セーヤ!酒臭いって!」 「酒臭くて結構!おらぁ!お前も飲まねえか! 」 「ちょ……臭いって!顔近いから! 」
そう、この宴はレイの入団を祝っての祝賀会であった。 右手に銀色の金属製のジョッキを掲げ、左手にブドウ酒の酒瓶を持ったセーヤが林檎のように頬を赤く染め、その主役のレイに絡んでいた。 顔を必要以上に自分へと接近させてくるセーヤの顔を両手で必死にレイは押さえ、顔を反対側へと向けぶはっと息を吐く。 セーヤが呼吸をするたびに、酒の臭いがレイの鼻腔を刺激していた。
「セーヤ!ちょっと離れて……」 「おぉう!恥ずかしがんなって! 」 「隊長!レイはまだ子供なんですよ! 止めてください! 」
あまりのセーヤの暴走にみかねたセナがセーヤをレイから引きはがした。
「なんだぁ……そんな固いこと言わないでもいいじゃねぇか。せっかくの飲みの場だってのに」 「だからといってしていい事と悪い事の区別はつけてください! 」
セーヤはセナの叱責に白けてしまったのか、口笛を吹きながらレイのテーブルから立つ。 半分ほど残っていたブドウ酒をそのままグビグビと飲み干し、ぷはぁっと大きく息をついた。
「おう、酒切れたな。新しいの誰か持ってこい! 」
セーヤは空になった酒瓶を宙へと放る。 それは綺麗な円を描きながら、飲みつぶれている団員達の頭上を越え、なだらかに重力に従い落ちてゆく。 その酒瓶をゆっくりと目で追うレイ。
「あっ」
何かに気がついたレイは椅子が倒れる程の勢いで立ち上がったが、時すでに遅し。 その酒瓶は、酒に酔い潰れて床に寝転がっていたトールの顔面へと吸い込まれるように落ちてゆく。 ゴツッと鈍い音が室内に響いたかと思うと、その数秒後には怒声が室内に響き渡ったのは言うまでもない――。
※本来はこれ以後も物語は続いているのですが、文字数の関係上分割せざるをえないため分割しています。
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Re: 【2‐7更新】書き物的なもの【0‐2修正】( No.53 ) |
- 日時: 2013/06/30 18:27
- 名前: 「」 (ID: K7OljR24)
更新来てた >>52 1レスで全部書かなくても分けて書いても構わないよ |
Re: 【2‐7更新】書き物的なもの【0‐2修正】( No.54 ) |
- 日時: 2013/06/30 21:33
- 名前: ウェン(3ds) (ID: YfDuVutE)
これは俺の予想だと…
最初にでてたキャラが実はロキ ↓ その数年後レイとアンナの故郷が滅ぼされる
実はロキは自分の家族を殺した飛竜を殺すためハンターになった そんで簡単にケルビ(?)とかも殺せる様になった
と思う…
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Re: 【2‐7更新】書き物的なもの【0‐2修正】( No.55 ) |
- 日時: 2013/07/01 12:13
- 名前: それだけの話 (ID: kdMYyDvf)
>>52 何十人も入るような建物は、もはや「小屋」ではないのでは……。 実は地上の小屋の部分はただの入り口で、地下に広大な空間が広がっているとか!?(笑) あと、銀色の陶器のジョッキとありますが、金属の間違いでしょうか?
関係ない話なのですが。 最近ネット上の小説投稿サイトで発表された作品が書籍化して発売されるということが増えてきていますよね。 それらを全てチェックしているわけではございませんが、書店などで軽くながめると、「ネットゲームをしていたらそのままログアウトできなくなってゲームに取り込まれてしまった」「平凡な主人公が突然異世界に飛ばされてしまった」というような話が驚くほどたくさんあります。 しかも大抵の場合、その世界ではなぜか最強クラスの力を持っている、というのがパターンです。 流行り、なんでしょうかねえ……? これも一種の変身願望なのでしょうか?
別にそれが悪いということではないですし、面白い作品は面白いのでしょうが、書店でなんとも微妙な気分になる今日この頃です。
異世界に飛ばされて、という話では、「十二国記」シリーズが個人的にお勧めです。 最初の話では主人公は文字通り死ぬような苦労をしますが、それだけに最後が素晴らしく思えますよ。 |
Re: 【2‐7更新】書き物的なもの【0‐2修正】( No.56 ) |
- 日時: 2013/07/01 20:33
- 名前: しろ (ID: zrBnjmGg)
>>53 ご意見ありがとうございます! 今後もこの形式で続けていこうと思います('∀'*)
>>54 うーん…説明すると @序盤からでている少年はレイ。 Aケルビを殺したのはアンナ。 ロキについての過去はおいおい(;^ω^)
>>55 ご指摘ありがとうございます!修正致しました! 書籍化されたものを拝見したことはないのですが 確かに現実の世界から架空の世界に入り込むという設定はよくあるような気が… 主人公は大体チート能力&強運だったりしますねw すごく共感できます(笑)
十二国記は以前アニメで見てましたー 確かに主人公は苦労してましたね! 私のこの物語も似た感じになるかもしれないです(笑)
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Re: 【2‐7更新】書き物的なもの【0‐2修正】( No.57 ) |
- 日時: 2013/07/03 21:18
- 名前: しろ (ID: LwfsTE9J)
2-7A
足元を照らす僅かな淡い光を頼りに、彼女は道を進んでいた。 その道には茨の棘の様に小さい無数の棘があり、足を前へと進ませるごとに足裏を傷つける。 何も履くものもない彼女――なら進まなければいいではないか。 ふと足を止め、後ろを彼女は振り返る。 自分が歩んできた道は音もなく消失していた――変わりにそこにあったのは無数の屍。 飛び散る血、漂う死臭――悲鳴をあげつつ彼女は一目散に前へと駆けだす。 足の痛みなど気にしている暇はない、奴が近くまできていた。もう、彼女のすぐ後ろまで。
「あぁ……ああぁ……! 」
息切れ切れにただ前へ前へと駆ける。 何度も足がもつれそうになりながらも、必死に彼女は走った。 足元の痛みに唇を噛みながらも必死に耐え、光のない道をただただ走っていく。 だが……もう限界であった。
「あぁ!? 」
疲れとあまりの痛みに耐えきれず前へと倒れこむ彼女の後ろから響く咆哮。 それはこの世のものとは思えない、化け物の咆哮であった。 耳を切り裂かんばかりの咆哮の後、ズシッズシッと道を踏みしめる音。 もう逃げられない――目を瞑ったと同時に、彼女の胴体は化け物によって噛みちぎられた。
「あぁあああぁぁッ!……あっ……? 」 「……あ、目が覚めた? 」
目の前には、こちらを見下ろしている男の顔があった。 女性か男性か分からない中世的な顔に、陰湿な雰囲気の漂う細長い目。 あまり生気の感じられない白い顔には彼女は見覚えがあった。 確か名前は……。
「ロキ……? 」 「おはよう、アンナ。よく眠れた? 」
ロキは優しく微笑んでくる。 そうだ、確かこの人に背負われて眠ってしまったんだ。
「ここは……」 「あぁ、ここ診療所。綺麗なところでしょ」
アンナの横たわるベッドと、ロキの座る椅子のみが置いてあるだけの狭い部屋であった。
「大丈夫かい?だいぶうなされてたけど……」 「あっ……うん、大丈夫」
ゆっくりとアンナは体を起こそうとすると、全身に鈍い痛みが走る。
「痛ッ! 」 「あぁ、まだ起きない方がいいよ。医者が言うには3週間は安静にしてろって言ってたからね」
誰がこのような目に合わせたのか、この男は分かっているのだろうか。 アンナは痛みをこらえつつも、ゆっくりと上半身を起こし、額から流れ出ていた汗を手で拭う。 己の肢体には無数の擦り傷と赤い腫れがあり、所々に包帯が巻かれていた。 特に痛みの酷い右足には緑色に染まった布が巻かれており、何か花の蜜の様な甘い匂いがしている。
「これは……? 」 「それは特別な薬品に長い時間漬けた特別なものだってさ。傷の完治が早まるらしいよ」 「そう……私、どのくらい寝てたの? 」 「うーん……まぁ朝から晩まで、かな」
ロキはそう言いながら笑った。 この人は私を背負ってどのぐらいの長い距離を歩いてきたのだろう。 自分だって疲れているのにずっと傍にいてくれたのだろうか。 そう思うと自然と言葉が口からでていた。
「ありがとう、ロキ」 「いえいえ、当然の事をしたまでです」
ロキはアンナに微笑むと、傍らに置いていた弓を肩に背負い立ち上がった。
「行くの? 」 「うん、君も目が覚めたようだし。僕も休ませてもらうよ」
部屋の扉を開けたロキの背中に、アンナはもう一度感謝の言葉を述べた。「ありがとう」――と。 ロキは振り向くことなく、右手だけを上げて彼女への返答とした。 ロキが姿を消すと、アンナはゆっくりと体をベッドへと戻し、目を瞑る。 それから急激に襲ってきた眠気に、彼女は身を委ねるのだった――。
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Re: 【2‐7A更新】書き物的なもの【0‐2修正】( No.58 ) |
- 日時: 2013/07/02 17:27
- 名前: ランランル〜〜〜♪ (ID: 3T/5Dccp)
はじめまして〜
この作品は3g板から見させてもらってます 早く続きがみたいな〜(*^_^*)ワクワク |
Re: 【2‐7A更新】書き物的なもの【0‐2修正】( No.59 ) |
- 日時: 2013/07/02 17:40
- 名前: ちょむすけさん ◆39JCODjUas (ID: 0shUcUzp)
¨/\_/\ ( *^ω^)ワクテカワクテカ
とても面白いです!ロキさん良いねww |
Re: 【2‐7A更新】書き物的なもの【0‐2修正】( No.60 ) |
- 日時: 2013/07/02 21:55
- 名前: しろ (ID: Eu/N000Z)
>>58 はじめましてー!前板から読んでいただけているとは… 感謝感激です。・゚・(ノД`)・゚・。 これからもお付き合いくださいませ!
>>59 ありがとうございます!楽しんでいただけているようでなによりです! ロキはたぶん一番好かれやすい性格してるかもしれませんねw 今後もこんな感じでマイペースな人だとおもいます(笑)
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Re: 【2‐7A更新】書き物的なもの【0‐2修正】( No.61 ) |
- 日時: 2013/07/03 16:58
- 名前: 「」 (ID: VFYy45xF)
>>57は予知夢かなんかかもな 冒頭の襲撃のトラウマによる悪夢とかであってほしいが |
Re: 【2‐7A更新】書き物的なもの【0‐2修正】( No.62 ) |
- 日時: 2013/07/03 17:08
- 名前: 只 ◆9sSjKSOhi2 (ID: moQYRIby)
>>55 SAOは第二幕がチートだった希ガス 因みにモンハンノベル見てるが大抵不利→逆転のパターン ネタバレだが蒼天の証アマツ編はとどめをさそうとしたアマツがどっかいったという強運 まあ設定的にはアマツは害は起こさないけどついてくる嵐が害起こしてるだけなんだが。
まだ全部見てないんだが追々見ます^p^ 書籍化したら買いたい所だがなぁw
塚ロキ・・・うなされてるの分かっててよく眠れたかい?ってw |
Re: 【2‐7A更新】書き物的なもの【0‐2修正】( No.63 ) |
- 日時: 2013/07/04 17:47
- 名前: しろ (ID: XYnQXnNU)
>>61 彼女の見た夢がトラウマによるものか、それとも予知夢なのか? どちらにしても良くないことに変わりありませんね(´-∀-`;) 今後少しでも事態が改善されるのか…
>>62 主人公サイドが勝たないと盛り上がりにくいかもですねー ですけども私の小説ではそのようなことは関係なし!w
ロキについてはこの台詞の方が彼らしさが出るかなあと思いましてー 彼の今後にも注目してください!
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Re: 【2‐7A更新】書き物的なもの【0‐2修正】( No.64 ) |
- 日時: 2013/07/05 18:04
- 名前: しろ (ID: mdvoBE0A)
己のテリトリーに侵入するものは殺す。 それが彼の信条ゆえに、彼は侵入者を排除した。 体を潰し、噛み砕き、血を飲み干す。彼にとって実に侵入者は弱かった。 そんな獲物も残り一匹――。
「ひぃぃい! 」 男の足元に転がる無残な死体。 それは胴体を潰された者、首から上を噛み切られた者、泥の塊で窒息死した者の亡骸だった。
「あぁぁ!くそッたれ!来るならきやがれ! 」
震える手で刀を握る男。 今までに感じたことのない恐怖が、男の心の奥底から沸き上がってくる。 男の眼前に化け物の姿はない。一体どこに消えたのか――。
「はぁー……はぁー……ちくしょう!どうして俺が……! 」
いつもと変わらない仕事となるはずだった。 商人達の荷物の護衛を終え、今頃は酒場で仲間達と酒を酌み交わしているはずであった。 だが……現実は非情である。 信頼する仲間は無残に殺され、一人の商人と荷を運んでいた草食獣も同じ骸となり、生き残ったのは自分といつの間にか逃げていたもう一人の商人だけであった。
「くそッ、こいつが近道なんてしようとするから……こんな目に」
男は足元に転がる顔のない商人の死体を蹴りながら悪態をつく。 この男がいる沼地からセズナの街までは約2時間、街道を往くよりも4時間以上早く着くことができた。 だが多くの者が沼地を越えず、わざわざ遠回りである街道を往く。それは何故か――。
「くそぉおぉ!どこだッ、姿を見せやがれ!この化け物がッ! 」
男の周囲に広がるどす黒い色をした沼地――ここに住まう化け物がその原因であった。 その化け物の被害が後を絶たないゆえに皆が皆、遠回りの街道を往くのだ。 それを商人も、この傭兵達も知っていた。 だが、急ぐ商談があるとの事で、倍の金額を出すことを条件として彼らはこの沼地を訪れてしまった。
「はぁー……はぁー……ちくしょう、ちくしょう! 」
男の背後で、沼の池がボコッと音をたてて息をする。 男はそれに気がついていない。徐々にそれは男へと近づいてゆく。
「くそッ……まだ死にたくない……死にたく……」
男は己の背後に何者かの気配を感じた。 ゆっくりと顔を後ろへ向ける――そこには先ほどまではなかった、岩の様な突起物があった。 男はそれを見た瞬間、顔を恐怖へと歪め、握りしめていた刀をそれに目がけて振り下ろす。
男の耳に響き渡る鈍い金属音と、頬を掠り宙へと舞った刀の刃。 男の刀は半分に折れていた。
「うわぁあぁああぁッ!? 」
男は刀を捨てて逃げ出そうとした。だがもう遅い。 突起物は勢いよく沼の中から飛び出すと、逃げ出そうとしていた男の背へと向けて突き出された。 それが直撃し、たまらず前方へと吹き飛ばされる男。
「あぁぁ……!? 」
激痛に顔を歪めながらも、男は必死に立ち上がろうとした。 だが男の体は、男の背後から伸びる陰に全身が覆われる。既に彼の後ろにはこの沼の主の姿があった――。
最後の侵入者を踏みつぶした彼は満足した。 もう己のテリトリーを荒らす者はいない、誰も己の安眠を脅かすものはいない。 安眠……そうだ、少し体を動かしたせいか、酷く疲れた。 少し眠りにつこう、少しだけ。
そうして沼の主は再び沼池の中へと身を潜め、己の寝床へと向かう。 沼の主が去ったその場には、無残な死体が残されるばかりであった――。
「おい、聞いたか? 」 「何を? お前がカードでぼろ負けした話か? 」 「ちげぇよ、馬鹿。……またあの沼地で死人がでたらしい」 「あーまたか。最近多いなぁ、あの沼地」
セズナギルド支部――狐目の受付嬢の前で、二人の傭兵が話をしていた。 一人は腰に刀剣を佩き、もう一人は肩に弓を担いでいる。 男達の会話の内容はセズナの街から数十キロ離れたところにある広大な沼地群での話らしい。 その沼地に入った行商団の一員の生き残りが命からがらセズナの街の門まで逃げてきたところからこの話は広まっていた。
「けどまだ死んだかなんてわかってないんだろ? 」 「いやーもう死んでるだろ、三日以上街に戻ってないらしいしな」
狐目が準備した金が入った袋を受け取りながら、弓の男は肩をすくませる。
「さすがにこれ以上ギルドも野放しにできないんじゃないか」 「そうだな……今回で3件目だし、動くかもな」 「募集されたら……行くか? 」 刀剣を佩いた男は笑いながら首を横に振った。
「いくら金積まれても行く気にならんね」 「そうだな、命なくしちゃ……これの意味ないからな」
弓の男は金のはいった袋を揺らしてみせる。
「……」
狐目は刀剣を佩いた男に受け取りの証明書に記入してもらうと、ぺこりと頭を下げた。 男達はそんな彼女にわき目も振らず、受け取った金で何をするかを相談しながら外へと出て行った。
「……」
一人取り残された彼女は、机から一枚の紙を取り出し、依頼掲示板と書かれている板の前に歩いてゆく。 板に取り出した紙に掲示し、彼女はゆっくりと受付の席へと戻った。 彼女が張り出した紙には、一匹の化け物の絵と大きな文字でその化け物の種別が書かれていた。『獣竜種』と――。
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Re: 【2‐8更新】書き物的なもの【0‐2修正】( No.65 ) |
- 日時: 2013/07/05 18:16
- 名前: ちょむすけさん ◆39JCODjUas (ID: fJ.JAqp7)
>>64 ままままままさかボルv・・・。 ガクガクブルブル(((((´д`;)))))
アイツ・・・怖ww |
Re: 【2‐8更新】書き物的なもの【0‐2修正】( No.66 ) |
- 日時: 2013/07/05 21:09
- 名前: 名無し (ID: jNkJq1Ro)
{速報}とうとう愛読者が500人を突破{速報} |
Re: 【2‐8更新】書き物的なもの【0‐2修正】( No.67 ) |
- 日時: 2013/07/06 12:15
- 名前: それだけの話 (ID: Q9YCNKEj)
>>64 ただのボルボロスだとしたら、ちょっと強すぎる気がしますね(笑) いや、護衛についていたハンター達だって、それなりに経験を積んでるはずじゃないですか。 それがなすすべもなく、となると、G級とか特異個体なんでしょうか?
あ、もしかすると……。 ボルボロスだと見せかけて、ブラキディオスだったとか……? ありませんね、はい(笑)
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Re: 【2‐8更新】書き物的なもの【0‐2修正】( No.68 ) |
- 日時: 2013/07/06 12:28
- 名前: ちょむすけさん ◆39JCODjUas (ID: yE8ELPTj)
>>67
護衛ハンターの装備はまさかの アロイ一式とかww |
Re: 【2‐8更新】書き物的なもの【0‐2修正】( No.69 ) |
- 日時: 2013/07/06 13:55
- 名前: 「」 (ID: jZXkzwYx)
>>64 ボルボロスってこんなに凶暴かね 獣竜種でここまで凶暴なのはイビルジョーくらいしか思いつかんが |
Re: 【2‐8更新】書き物的なもの【0‐2修正】( No.70 ) |
- 日時: 2013/07/06 14:08
- 名前: アクロバッテック爺さん (ID: Ti6.QSGf)
>>69大型モンスターは皆狂暴だろ |
Re: 【2‐8更新】書き物的なもの【0‐2修正】( No.71 ) |
- 日時: 2013/07/06 16:44
- 名前: 双剣 ◆HUQd0j4o36 (ID: /IhWXpO4)
・・・面白い! はじめまして 双剣といいます。 これからよろしくお願いします! しろさんは凄い! &皆さんはもし自分の話が書けたら書きますか? もし書けたら私が管理する小説スレをたてるのできてください。 |
Re: 【2‐8更新】書き物的なもの【0‐2修正】( No.72 ) |
- 日時: 2013/07/06 19:05
- 名前: しろ (ID: wajcZ6V7)
>>65 トライ登場時は挫折されるほどの強さだったという事で いい感じに怖くなってますでしょうか?w
>>66 コツコツと更新してきたかいがありました! やはり見ていただけるとやる気上がりますゆえ(笑)
>>67->>70 強さに関してだいぶ論議されているみたいで嬉しいですw 私の物語では、あくまでゲーム上の設定を拝借しているだけで ゲーム本体の強さの設定に忠実な訳ではないのです(;´・ω・)
なので人それぞれの捉え方によって この敵は0分針で倒せたし、こんな強くないだろという方もいますし 私はこの的に2死、なんとか時間ぎりぎりで討伐!という方もいると思います。
なのでゲーム上での強さは本来物語に関係する事はないと思います。 ちなみに縄張りに対する考え方はムービーを参考にしています(笑)
ちなみに傭兵はハンターとは違い、正式な対化け物戦用の訓練は受けていなおらず、能力、装備している武具もだいぶ劣っているとお考えください。
最後にこれからの進展についてのお話ですが…
私の物語では主人公サイドの圧倒的勝利や 起死回生の逆転勝利などの展開は少ないですw 余裕で死人でまくりのダークストーリーです! 苦手な方はこれから先辛いかもですね(笑)
>>71 はじめましてー応援ありがとうございます! 小説スレを建てられるのですね! 管理も大変でしょうが、頑張ってください('∀'*) 私も完結目指して頑張ります!
|
Re: 【2‐8更新】書き物的なもの【コメ返あり】( No.73 ) |
- 日時: 2013/07/06 19:10
- 名前: ちょむすけさん ◆39JCODjUas (ID: yE8ELPTj)
>>72 ええがなええがな!! ダークストーリー好きやでぇー!!
ボルボロス初見は倒すことも無理だったww
>>71 書きたいです!でもしろさんみたいに 凄くはありませんがww |
Re: 【2‐8更新】書き物的なもの【コメ返あり】( No.74 ) |
- 日時: 2013/07/07 16:14
- 名前: 名無し ◆oa6k//3vOQ (ID: zfrYaQ16)
5話ぐらい一気読みしたら眼がぁぁぁ
>>72 今更なんですけど>>46の「皆が皆各々の〜」の部分で 「皆が皆」と二回言ってるんじゃ•••
文系は苦手なんで正しかったらスルーしてもらって結構です
>>71 創作意欲湧いてきた 「はぁっ…うぅっ、糞がッ…」 砂漠の暑さに朦朧としながら男は悪態をつく だが男は足を止めない、否、止められないのだ、その理由は− 「グゥオオォォォォォ!!」 凄まじい咆哮を唸りながら追ってくる一本角の竜「モノブロス」がいたから 「ぐっ!」突然足元が揺れだす、地震か、違う−奴が地中に潜ったんだ 俺は何でもない荷物運びだ、何故こんな事に−そう思い唇を噛み締める だが疲労は限界に達していた、砂漠に足を取られ、膝から倒れる しまった!そう思った刹那、男の体は宙に舞っていた あぁ、俺はまだ死にたくなかった−悲鳴と共に生暖かい血が飛び散る …ただし、男のではなく、いままで追っていた竜、ディアブロスの物だった 「破ァ!」Tさんの声と同時に
うん、勿論飽きた |
Re: 【2‐8更新】書き物的なもの【コメ返あり】( No.75 ) |
- 日時: 2013/07/07 19:37
- 名前: しろ (ID: .hhFuArg)
>>73 ダーク系統の話となると苦手な方もいると思いますからね(;´・ω・) 好きな方には楽しんでいただけるかなと思います(笑)
>>74 ご指摘ありがとうございます!確認したところ
【皆が皆】…連語、残らず全部。すべて。
という意味での使用が可能なので、この文で大丈夫なようです。 ご指摘いただけるとこちらも助かりますので、今後ともよろしくお願いしますw
5話一気読みは私も疲れると思います(笑) Tさんネタは好きです('∀'*)
|
Re: 【2‐8更新】書き物的なもの【コメA返あり】( No.76 ) |
- 日時: 2013/07/07 19:44
- 名前: ちょむすけさん ◆39JCODjUas (ID: pwv520ry)
しろさんって本当に書くのが上手ですね♪
どうしたらそんなに読みやすくて面白いのが できるのですか? |
Re: 【2‐8更新】書き物的なもの【コメA返あり】( No.77 ) |
- 日時: 2013/07/08 16:19
- 名前: しろ (ID: IFsmZYSR)
青く澄み渡る空、その空を見ている時だけが唯一自分の心が安らぐ時であった。 幼い頃から続けている習慣。大人になった今でもそれは続いている。 空という青いキャンバス――そう、彼は幼い頃から自分の未来の姿を空に描いてきた。 大金持ちで信望のある大行商人、街の政治を司る役人など彼は年相応の夢を空に描いてきたのだ。 だが、今の現実はそのどれでもない。まさにそれとは正反対の道に今は進んでいる。 あの化け物に襲われてからというもの、彼の運命は変わった。 安寧の子供の頃の夢から、あの化け物を自身の手で葬るという死線の夢へと――。
「またここですか、隊長」
女の声。セーヤは視線を空から落とし、後ろへと向ける。 そこには登ってきた梯子から屋根の上へとひょっこりと顔を出しているセナの顔があった。 セナは屋根の上へと登り、セーヤが腰かけている後ろへと立つ。
「……なんだ」 「なんだとはないでしょ、なんだとは」
白銀の空の屋根の上――セーヤの姿が建物内にない時は、必ずここにいるという程、彼はこの場所を好いていた。 いつもは豪快な彼が、この場所にいるときだけは別人かと思う程に心穏やかになる。 そのため団員達は彼がここにいるときに何か仕事でミスを犯したときは謝りにくる程だ。
「次の仕事どうするんです?他の団員達は仕事に出てるけど……」 「そうだなぁ……熊の金もこの前の飲みで大半消えたからなぁ」
この前の飲みとは、レイの祝賀会の事である。 高額なワイン酒とその肴として購入した食事により2000z程を消費し、残った1000zをレイを除いたセーヤ、セナ、トールの3人で折半したのだ。 そのため、今後の食い扶持を稼ぐためには仕事――狩り、もしくは警護をしなくてはならない。 基本的に傭兵団は常に何人かのグループで活動をしており、他の団員達は彼らと同じく狩りや行商人の警護などをして生計を立てている。 本来は傭兵団の長がギルドから仕事を斡旋し、団員の力量に合わせた仕事を回し、その成功報酬の何割かを団長へと収めるのが基本であるが……。 白銀の空ではそうではない。 傭兵団として存在こそはしているものの、仕事の依頼は基本的にギルドより依頼されることなく、ギルド支部にある依頼板より団員達は仕事を請け負う。 そのため、本来は斡旋料として月ごとにギルドに傭兵団からいくらか収める事となっているのだが、この傭兵団にはそれがない。 その利点として、成功報酬は純粋に自分達のものになるうえ、長であるセーヤにも金を渡す必要がない。 純粋に利益だけを求める者達がこの白銀の空へと所属しているのだ。 だが利点があるからには、その反対もある。それは仕事が限定されるということ。 個人の依頼を引き受けるにはそこらの酒場にでもいけばいくらでも安い仕事はあるが、ギルドの依頼については少々違う。 依頼板に回る仕事はギルドが各々の傭兵団に斡旋した仕事を断られた場合にのみ貼り出される。 つまり危険度が高いゆえに各々の傭兵団から断られた仕事であり、その分報酬が高いのがギルドの依頼なのだ。
「この前の飲みは仕方ないでしょ。隊長の我がままであの村を助けたんだから」 「あぁ、そうだな……あいつらもあれで納得して良かったよ」 「まあ皆が皆本当に納得した訳じゃないですけどね、現に3人死んじゃってるし。あ、それと2人行方不明か」 「……」 「けど日頃滅多に飲めない高級なお酒と食べ物出されたら怒るに怒れないんですよ、みんな」
セナが笑いながら懐から一枚の紙を取り出し、セーヤに手渡した。
「……あん? 」 「それ、ギルドの依頼所から引っぺがしてきたヤツです」 「『獣竜種』……あの沼か? 」
セナは頷く。
「またあの沼で行方不明者が出たみたいで……さすがにギルドもこれ以上野放しにできないと踏んだみたいです」 「そりゃぁそうだわな、それでこれが貼られたって事は……」 「どの傭兵団も請け負わなかったみたいですね」
獣竜種と書かれた文字の下には1万zの数字が書かれていた。 彼らが討伐した熊の3倍以上の破格の賞金である。
「今もまだ請け負うギルドは見つかってないみたいですけど……どうします? 」 「どうするもこうするもないだろ、やるぞ」
セーヤはニッと口元を緩ませ、紙を懐へとしまった。
「それにこれだけの大事なら、俺達はハンター様の補佐役だろうよ」 「そうですね、その紙に書かれていましたけど、数人のハンターの補佐役としての依頼みたいです」 「そうだろ?ならやりようはいくらでもある」
セーヤは大きく伸びをしながら、立ち上がる。 そこにはもう穏やかな彼の顔はなかった。
「俺は今から支部に行って、こいつを請け負ってくる」 「了解です、隊長」
セーヤが梯子を下りてゆくのを見送った後、セナは屋根の上に座り込み、そこから見える景色を眺める。 ここからの眺めは商業区までも見渡せる。それほどの高所に狩猟地区は存在しているのだ。 商業都市で小さくうごめく人の群れを目を細めながら見つめるセナ。その顔にはどこか暗い影がさす。
「……」
もしあの時、あの様な事が起きなければ今では自分もあの平和な商業地区の様な場所に住んでいたのではないか――。 彼女は頭の隅に沸き上がるその思いに苦笑いをしながら、ゆっくりと立ち上がる。
「……過去には戻れない。もう二度と」
そう呟き、彼女はその場を後にするのだった――。
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Re: 【3‐1更新】書き物的なもの【コメA返あり】( No.78 ) |
- 日時: 2013/07/08 18:47
- 名前: ランランル〜〜〜♪ (ID: cHAtVHou)
セーヤの態度のかわり方、個人的に好きだなぁw
続きが楽しみ(*^^)ワクワク |
Re: 【3‐1更新】書き物的なもの【コメA返あり】( No.79 ) |
- 日時: 2013/07/09 11:01
- 名前: しろ (ID: fAJ3Pr9y)
>>76 褒めていただけるとは恐縮です(;^ω^) とりあえず今まで結構小説とかは読んできたので それが大きいのかも…最近はまったく読んでないけどw
>>78 意外な2面性ってやつですかねー セーヤは粗暴ながらも、実は誰よりも仲間想いの一面とかもあるかも… 今後も彼の変化をお楽しみに('∀'*)
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Re: 【3‐1更新】書き物的なもの【コメB返あり】( No.80 ) |
- 日時: 2013/07/10 21:42
- 名前: しろ (ID: oKBzY9wW)
「おっちゃん!これいくらぁ!? 」 「あぁ!? そりゃぁ5zだぞッ! 」
商業区は多くの行商人達とその客で賑わっていた。 様々な食材や日用品、果ては武具防具まで揃えている店も露天商として商売をしている。 人々が売買を行う中、団の食料の買い出しに出されたレイも客の中の一人としてその場にいた。
「このパン一斤でぇ!? 」 「あぁあっ!? 当たり前だろぉ! こっちも商売なんだよ、商売ッ! 」
売買を行う人々の声が飛び交うこの商業区では怒鳴るように言わないと、とてもじゃないが声が相手に届かない。 それほど人の数も多く、値切り合戦も多いという事だ。
「このパン一斤のやつ3つ買うからぁ! 12zぐらいにまけてくんないッ!? 」 「あぁ!?馬鹿言ってんじゃねぇぞ、クソガキッ!嫌なら買うなッ! 」
さすがに簡単に値引きに応じるほど甘くはないらしい。 それでもレイは諦めずに、食料を取り扱う商人に交渉する。
「じゃあ13zッ! 13zならどうよッ! 」 「あぁんッ!? 15zは15zで変わんないだよ、計算もできねぇのかッ!? 」
諦めずに交渉するレイとそれに反論する露天商。 熱い日差しが商業地区を包み込む中、二人の討論も白熱してゆく。
「あぁーじゃあ14zッ! こんぐらいならいいだろッ!? 」 「うっとおしい餓鬼だなッ! そろそろ消えねぇと痛い目みるぞッ!? 」
さすがに露天商の顔が赤く紅潮してきていたため、レイは諦めた。
「分かったよッ! じゃあ15zでいいからッ! 」 「最初から素直に払えばいいんだよッ、クソガキッ! 」
レイは軽く舌打ちをし、不本意ながらも露天商に15zと背負っていた籠を手渡した。 露天商はそれを受け取ると、パン一斤を3つ籠の中へと放り投げ、レイへと手渡す。
「まいどありッ! 」 「……糞親父」
レイはそうボソッと呟くと、次の食材を買うために他の露天へと移動しようと身を翻した際、後ろにいた男にぶつかった。
「うわッ!? 」 「おっと」
男は後ろへと倒れそうになったレイの腕を瞬間的に引っ張り、前へと引きもどす。 体勢を崩しつつも、なんとか転ばないで済んだレイは男に頭を下げる。
「ごめんなさい。気がつかなくて……」 「あぁ、いいよ。気にしないで」
男は頬笑みながらレイの肩を叩く。 女性の様な中性的な顔立ちに、レイは相手が男ながらも美しいと感じてしまった。 男がレイの横を通り過ぎようと、彼の横に足を踏み出した時、レイは男のベルトにぶらさがった人形に目が惹かれた。
「あっ」 「うんっ? 」
赤いドレスを身にまとった、ブロンド髪の長い髪をした女の子の人形。 ニッコリとした笑みを浮かべているその人形に、レイはどこかで見たような覚えがあったのだ。
「それ……」 「んっ? あぁ、これ? 知り合いの女の子が落としてたものでね、今からこれを返しに行こうと思ってたんだよ」
男は微笑みながらその人形を優しく撫でる。
「女の子? 」 「そう、女の子。酷い怪我をしてしまってね、それで見舞いも兼ねて返しに行こうかなって」
男はまぁ僕のせいだけどねと笑いながら頭をかく。 男の話を聞きながらもレイは必死にその人形をどこで見かけたのかを思い出していたが……どうしてもどこで見たのか思い出せない。 ジッと固まってしまったレイに、男は不思議そうに首をまげて尋ねる。
「どうかしたの? この人形が? 」 「あっ、いえなんでも」
レイは慌てて首を横に振り、男から目を逸らした。 男はじゃあねとレイに向けて声をかけると、人混みの中へと姿を消してしまった。 一人その場に取り残されたレイは、それから一時の間考え込んでいたが、答えが出ることはなかった。
「思いすごし……かな」
レイは頭の白い靄を振り払うと、買い出しのために外へと出されたのを思い出し、急いで次の露天へと駆けだすのだった――。
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Re: 【3‐2更新】書き物的なもの【コメB返あり】( No.81 ) |
- 日時: 2013/07/10 23:43
- 名前: ちょむすけさん ◆39JCODjUas (ID: q.DuTA6p)
>>80 男がどうしてもロキかと思ってしまう・・・。
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Re: 【3‐2更新】書き物的なもの【コメB返あり】( No.82 ) |
- 日時: 2013/07/11 20:50
- 名前: 「」 (ID: QDrkJuGQ)
普段おとなしい感じのレイがキャラ崩壊してたな 大声で怒鳴ったり軽く舌打ちしたり 挙げ句の果てには糞親父って… お前そんなキャラだったか?ってなった |
Re: 【3‐2更新】書き物的なもの【コメB返あり】( No.83 ) |
- 日時: 2013/07/11 21:02
- 名前: しろ (ID: YTScTlPs)
>>81 それは次の話でお分かりになるかと思いますw 今回でも誰かは分かると思いますが…
>>82 普段共にしてる人物たちが濃いせいで、大人しめに思えてるかもですねw レイの過去についての話や、彼の普段の生活(今までが非日常)をどのように過ごしているのかを今後書いてゆくつもりですのでそこまで話が進むと彼の性格が分かるかもー 今はまだ彼の性格は2割ほどしか出てないとお思いくださいませ(;^ω^)
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Re: 【3‐2更新】書き物的なもの【コメC返あり】( No.84 ) |
- 日時: 2013/07/13 18:20
- 名前: しろ (ID: I2Ema2Sn)
あの鳥は何処まで飛んでゆくのだろう――ふとアンナの頭に疑問が浮かぶ。 彼女の入院している院内には小さな中庭があった。 そこはまだ6m程の小さな木が一本だけ植えられただけの質素な中庭。 中庭には天井はなく、ポッカリと空いた天井から空より来客が訪れるのだ。 木の枝に止まり、綺麗な歌声を発する来客を彼女はジッと立ちながら見つめていた。
「……」 「どうしたんだい?そんなところでたそがれて」
アンナは声のする方へ顔を向けることなく、ただジッと木を眺めている。 そんな彼女に苦笑いで応じるロキ。その手には小さな花束が握られていた。
「はい、どうぞ」 「……何、これ」 「何って……プレゼントだよ、プレゼントッ! 」
ロキが半ば強引にアンナへと花束を手渡す。 色とりどりの花で造られた花束。花の甘い匂いがアンナの鼻腔に漂う。
「いい匂い……」 「そうだろ?それは僕お手製の花束だからね、いい感じでしょ? 」
ロキが子供っぽく笑う。それを見て微笑む自分。 この人といるとどうしてこうも心が穏やかになるのだろう。 どうしても今の自分では理解できない感情に嫌になる。
「傷の具合はどうだい? 」 「んー……だいぶ良くなったかな? まだ痛むけどね」
アンナがこの診療所に運びこまれてから1週間、傷の治癒もだいぶ進んでいた。 体中の擦り傷も後は少々残っているもののほぼ完治し、一番重症であった右足も、医師特製の包帯のお陰で傷口がだいぶ塞がっている。 歩行はやや不安定なものの、十分に日常生活を送れるほどにアンナの体の傷は治癒していた。
「そうかぁ、良かった。僕も責任感じてるからね」 「……責任感じてるんだね、一応」
アンナは小さくため息をつく。
「そうだよ、責任感じてなきゃ君をここに連れてきたりしないよ」 「はいはい、分かりました」
枝に止まっていた鳥が空へと羽ばたいてゆく。 まるで太陽のように赤いその鳥は、小さな鳴き声を上げながらアンナの頭上を飛び去って行った。 後に残ったのはアンナの頭上にヒラヒラと舞い落ちてきたその鳥の羽根。 アンナは足元に落ちてきたその羽根を拾い、後ろにいるロキへと手渡す。
「ん、なんだい……それ? 」 「羽根、花のお礼に」
アンナから受け取ったロキは優しく頬笑み、一言ありがとうと返答し、腰につけているベルトに刺した。 その言葉にどこか心が火照るのを感じながらも、アンナはそれを顔に出すことはなく、頷いた。
「あっ、それとあと一つ、君に渡したいものがある」 「えっ? 」 「これ……君のだよね? 」
ロキが差し出した右手には小さな人形。赤いドレスを身にまとった、ブロンド髪の長い髪をした女の子。
「あっ……」 「君が僕の背中で眠ってた時に落ちてきたんだ。寝てる君を起こすのも可哀想だったから、僕が預かってたんだけど……」
アンナの手に渡された小さな人形。ニッコリと笑ったその顔を見た途端、アンナの視界がぼやけてゆく。 それは涙であり、抑えきれない感情があふれ出た結果であった。
「えっ!? どうしたのッ!? 僕何かしたッ!? 」 「……ち、違うの。そ、それお母さんが作ってくれた……や、やつで……な、失くしたかと思って……て」
その小さな人形は、アンナの母親が彼女がまだ幼い赤ん坊の頃に作ってくれたもの。 赤いドレスも、ニッコリとした顔も所々が破れかけてており、ボロボロであったが間違いなく彼女の人形だった。 ロキは慌ててアンナの背中を摩りながら、懐から一枚の布を取り出しアンナへと渡した。
「ごめんね、そんな事とは知らなかったから……早く返しにくればよかった」 「ううん……いいの。わざわざありがとう」
母親がどんな思いをしながらこの人形を作ってくれたのか、どんな思いでこれを幼き頃の自分に託したのか。 それをいずれ自分にとっていい日が来たときに聞こうと思っていたのに――母がいる前で自分の子供にこの人形を渡してあげたかったのに。 したくてもできない、聞きたくても聞けない――その想いから溢れ出てくる涙であった。 そんなアンナをロキはそっと自分の方へと抱き寄せる。
「泣きたいときはうんと泣けばいい。それが君の生きる力に変わるから」 「……ありがとう」
この人の暖かさに初めて触れられた。 いつまでもこの人の暖かさを傍で感じていたい。何故そう思うのかは分からないけど――。 その為にも私は今を生き抜く――。
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Re: 【3‐3更新】書き物的なもの【コメC返あり】( No.85 ) |
- 日時: 2013/07/16 21:51
- 名前: ランランル〜〜〜♪ (ID: .cCt8hYg)
んー、、、話の流れ的にアンナとレイはさいかいするのかな?するならどんなかたちでで再会するのか楽しみだぁ〜
もしかしてアンナはロキのことが、、、(*/□\*) |
Re: 【3‐3更新】書き物的なもの【コメC返あり】( No.86 ) |
- 日時: 2013/07/17 03:33
- 名前: ゴースト (ID: d5dZqUDu)
以前「敵同士で再会する気がする」と書いたが、意表を突いてすれ違うばかりで結局最後まで再会しない、とかどうだろうか。
読者「レイ、後ろ後ろ〜〜!!」 |
Re: 【3‐3更新】書き物的なもの【コメC返あり】( No.87 ) |
- 日時: 2013/07/17 17:35
- 名前: しろ (ID: JBEM13iC)
>>85->>86 コメありがとうございます! アンナとレイはいずれ再開します、近いうちに ただその時に二人の立場は違うかもしれませんが…
アンナにとってのロキの反応が今後どのように変化してゆくのか… そこもお楽しみに('∀'*)
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Re: 【3‐3更新】書き物的なもの【コメD返あり】( No.88 ) |
- 日時: 2013/07/21 12:08
- 名前: 只 ◆9sSjKSOhi2 (ID: ke4bDj/Y)
支援上げ 大変かと思いますが頑張ってくだされ。 |
Re: 【3‐3更新】書き物的なもの【コメD返あり】( No.89 ) |
- 日時: 2013/07/25 21:36
- 名前: しろ (ID: eAtfVeS3)
セーヤが例のギルドの依頼を受託してから数日後。 まだ日も上がりきらない早朝に、白銀の空の扉を叩く者がいた。 その男は右肩にゆうに2m近くはあろうかという巨大な「ランス」を担ぎ、左肩にはそれに見合う程の大きさのある「盾」を担いでいる。 武器は重装であるが、身につけている防具はそれとは対照的に胸に付けている胸当てのみと軽装であった。
「……」
男は無言で扉を叩く。あまりの力の強さに扉がギシギシと悲鳴を上げている。 それから間もなく、ドタドタと建物の中より扉に駆け寄ってくる足音。それに合わせて怒声も響く。
「……誰だぁッ!? こんな朝早くからッ!? 」
男はその怒声に扉を叩く手を止め、一歩後ろへと下がった。
「申し訳ありません、このような早朝に。……ギルドよりあなた方を紹介された者なのですが……」 「あんッ? ちょっと待ちな」
扉がゆっくりと開かれ、中からトールが顔を覗かせた。 そんなトールに男は一枚の紙を手渡し、これをセーヤへと渡してほしいと告げた。 その紙はまさしくあの獣竜種と化け物の絵が描かれた紙である。 セーヤはそれを受け取り、中身を確認すると、男をその場で待たし中へと消えていった。 それからすぐに引き返してきたトールに男は中へと誘われる。
「うちの隊長が中で話を聞くとよ、入れ」 「……ありがとうございます」 「あとすまんがその担いでる武器は俺が預からしてもらう。悪いが、これもうちの規則なんでな」 「あぁ、構いませんよ」
男は肩から下ろしたランスと盾をトールへと預け、トールは外で待機し、男は中へと足を進める。 男が中へと入ると、すぐ目の前には不敵な笑みを浮かべたセーヤが腕を組みながら男を待ち構えていた。
「……おぉ、あなたがここの隊長様ですか? 」 「あぁ、そうだ。俺がここの一応頭首のセーヤ・ロハンドだ。あんたは? 」 「私はナイゼ・シルバーナ。セズナのハンターの一人としてギルドより派遣された者の一人です」
「ハンター」、ギルドよりその地域専属の対化け物用の人材として派遣される者達。 幼い頃よりハンターギルド内に存在する訓練所で様々な武具の取り扱いについての訓練、対化け物用の道具の取り扱いを学び、戦闘訓練を行ってきて者達である。 並大抵の者ではなることのできない特別な存在であり、使い捨て同然の傭兵達とは立場が違うのだ。 そんなハンターの顔をまじまじと見つめるセーヤに、ナイゼと名乗った男は言った。――「獣竜種」の討伐を開始すると。
「……また急な話だな。ギルドから事前になんらかの連絡がくるかと思ったが」
ナイゼはため息をつきながら、懐から討伐依頼とは別の紙を取り出し、セーヤへと渡す。 その紙には、女の子の似顔絵と、セズナ周辺の地図が記載され、その地図の下には大きく「誘拐」との文字が書かれていた。
「……なんだ、こりゃ? 」 「その子はこのセズナで一番の行商人である男の娘です。その娘が身代金目当てで誘拐されたのです」 「身代金目当てで……誘拐か、穏やかじゃねぇな」 「えぇ……そしてなんとか依頼を受けた傭兵達がその誘拐犯達のアジトを殲滅したのはいいのですが……一人だけ取り逃しました、その娘を連れて」 「ははぁん……さては逃げた場所がその例の沼地……ね」
ナイゼは頷き、深いため息をつく。
「そのため、ギルドにその商人の男が多額の金を提供する代わりに早急に探索隊を出してほしいとの事で、こうして私がここに来ました」 「なるほどね、了解した。すぐに出発するのか? 」
頷くナイゼにセーヤは苦笑いで返す。
「そちらの戦力は? こちらはすぐに動けるのは俺を含めて3人しかいないが……」 「こちらも私を含めて3人です。そうなると6人……戦力的には大丈夫でしょう」 「相手が噂に聞くほど凶暴じゃなければね」
笑うセーヤとナイゼ。 この男達の合間に何故それほどの余裕があるのかと、柱の陰から二人の様子を覗いていたトールは怪訝に思うのだった――。
---------------------------------------
>>88 支援ありがとうございます('∀'*) なかなか暑さのせいでモチベが上がらず、遅くなりました(;´・ω・) 遅筆ながらも、頑張っていきます!
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Re: 【3‐4更新】書き物的なもの【コメD返あり】( No.90 ) |
- 日時: 2013/07/25 19:40
- 名前: KYハンター (ID: 0j/8t5wE)
初コメです。 凄く完成度高いですね。ビックリしました。 更新頑張ってください。 短文失礼しました。 |
Re: 【3‐4更新】書き物的なもの【コメD返あり】( No.91 ) |
- 日時: 2013/07/29 22:23
- 名前: ダックスフンド ◆S8Pf1exELk (ID: wdtYRNW9)
♪ チャッチャッチャッ ♪ ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ (・∀・ ) .(・∀・ ) (.・∀・ ) ((( ;;"~;;;"~゛;;) ((( ;;"~;;;"~゛;;) ((( ;;"~;;;"~゛;;) . ミ;,,_,ミ;,,_,,;ミ ミ;,,_,ミ;,,_,,;ミ ミ;,,_,ミ;,,_,,;ミ
♪ チャッチャッチャッ ♪ ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ ( ・∀・) (. ・∀・) ( ・∀・.) (;;"~゛;;;~゛;; ))) (;;"~゛;;;~゛;; ))) (;;"~゛;;;~゛;; ))) . ミ;,,_,,;ミ,_,,;ミ .ミ;,,_,,;ミ,_,,;ミ .ミ;,,_,,;ミ,_,,;ミ
♪ うーっ ♪ ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ (. ・∀・ ) (. ・∀・ ) (. ・∀・ ) ;;"~゛;;;"~゛;; ;;"~゛;;;"~゛;; ;;"~゛;;;"~゛;; ミ;,,_,,;ミ,,,_,,;ミ ミ;,,_,,;ミ,,,_,,;ミ ミ;,,_,,;ミ,,,_,,;ミ
♪ ガンバレ ♪ ;;"~'゙;; .∧_∧ ;;"~'゙;; ;;"~'゙;;. ∧_∧ ;;"~'゙;;;;"'~'゙;;. ∧_∧ ;;"~'゙;; ミ,,,_,,,ミ( ・∀・ )ミ,,,_,,,ミミ,,,_,,,ミ( ・∀・ )ミ,,,_,,,ミミ,,,_,,,ミ( ・∀・ )ミ,,,_,,,ミ \ / \ / \ / |⌒I、│ |⌒I、│ |⌒I、│ (_) ノ (_) ノ (_) ノ ∪ ∪ ∪
フレーフレー!!しーろーさん! ヽ\ // ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ (__・∀・) (__・∀・) (__・∀・)( ・∀・) ( : ) ( : ) ( : )( : ) |_人__| |_人__| |__人_| |_人__| (__)_) (__)_) (__)_)(__)_) ∩∧_∧ ∩ 〃 (`___) ヾ ((⊂[_~ ]つ)) |____| (__)_)
読んでます。暑さに負けずに頑張ってください |
Re: 【3‐4更新】書き物的なもの【コメD返あり】( No.92 ) |
- 日時: 2013/08/03 09:29
- 名前: しろ (ID: BF9thtsX)
>>90 はじめまして! 褒めて頂け嬉しいかぎりです! HYハンターsも執筆お互いに頑張りましょう!
>>91 可愛いw 遅筆で本当に申し訳ないです…(汗 明日には更新できればと思いますー
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Re: 【3‐4更新】書き物的なもの【コメ@返あり】( No.93 ) |
- 日時: 2013/08/09 20:03
- 名前: KYハンター (ID: fjOe93ti)
支援上げします。 遅筆でも構いませんよーその分ゆっくり読み返す時間がありますし。 それに1話1話丁寧に仕上げている証拠だと思いますよ(それでも速い人もいますが) それにある料理人はこう言っています。 人は人、自分は自分、それぞれのペースを大事にすればいいんですよbyクッキングパパ
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Re: 【3‐4更新】書き物的なもの【コメ@返あり】( No.94 ) |
- 日時: 2013/08/09 20:08
- 名前: 普通の人 (ID: GaewCPeb)
>>93 「その分【ゆっくり】読み返す」 「1話1話丁寧に仕上げている」 「ある料理人」
まさか・・・ |
Re: 【3‐4更新】書き物的なもの【コメ@返あり】( No.95 ) |
- 日時: 2013/08/10 21:03
- 名前: しろ (ID: YTScTlPs)
「くそ……どうしてこんなことに……ッ! 」
男の鋭い目つきが自分に向けられている事に少女は恐怖した。 いつ殺されてもおかしくない状況で、男がいつ自分に手を出すのかという恐怖――。 まだ幼い少女の心は今にも壊れそうな程に疲労しきっていた。
「お前の糞親父が要求通りに金だけを渡せば良かったのになぁ……そしたら今頃お互いに天国だったろうに」
男が手に持ったナイフで少女の頬を軽く叩きながら、にんまりと笑う。
「……」 「仲間は全員殺されて、残ったのは俺だけ……あーぁ」
両手は縄で縛られ、口元には猿轡、足のみが動かせるように少女は制限されていた。 常に男の目線の元に置かれているゆえ、逃げ出すこともままならない絶望――それにここがどこだかも分からない。 裕福な家庭の元で生まれ育った少女には、今自分がいる自分の背丈より高い草に覆われ、ぬかるんだ水の腐敗した臭いが漂うこの場所がまるで夢のようだった。 悪夢という名の夢だと――。
彼は深い眠りから目を覚ましていた。 新たな侵入者が自身の安眠の地へと踏み込んできたからだ。 それは何度も殺した事のある生物、一匹は大きく、もう一匹は小さい。 ゆっくりと泥の中から視認できたのでそれに間違いはない。 彼はゆっくりと新たな侵入者との距離を縮めてゆく。 姿を現さないのは臆病だからではない、確実に獲物を仕留めるため。 ゆっくり、ゆっくり――獲物の捕らえられる範囲へと近づいてゆく――。
少女はこちらを見ている男の背後に目を向けた。何かが動いたような気がしたからだ。 何が動いたのかは理解できない、だが確かに何かが動いたような気配がした。
「おい、どこに目を向けてんだ? 」
男がにやにやとした笑みを浮かべながら少女の顔を覗きこんでくる。 その不快な目に少女はふと目を逸らした。 男はそんな彼女の反応を楽しむかのように鼻で笑うと、再び手にしていたナイフを少女の顔先へと近づける。
「おい、お前の命は俺の気分次第でどうにでもなるんだ。あんまり俺の気分を害する様な態度をするな」
ナイフの切っ先が日の光で鈍く光る。 少女は恐怖に顔を蒼白にさせ、ただ水飲み鳥のように首を動かすしかなかった。 そんな彼女の様子を男は満足そうに眺め、ナイフを己の腰に付けている鞘へと収めた。
「さてさて……お前を取引にもう使うわけにもいかねえし、やっぱりどこかの親父にでも売り飛ばすのが正解か? 」
男の顔に卑しい笑みが浮かぶ。
「まぁまずはここを抜けるのが先か……ここにはとんでもない化けもんがいるらしいしな」
男は地面に座り込んでいる少女に「立て」と声をかける。 少女はただ男の指示をただ黙って受け入れるしかなかった。 彼女がゆっくりと腰をあげようとした時、彼女のメガふと男の後ろにあった岩に目を奪われた。
(……動いた? )
男の背後に広がる沼にひっそりと突き出ている岩が少し動いた気がしたのだ。 不審がる彼女の様子に男も気がつく。
「……どうした? 」
また動いた。今度ははっきりと動いたのを彼女は見た。 徐々にこちらに向けて動いてきている。ゆっくりと。 男は彼女の目線に気がつき、後ろを振り返った――その時、男の背後に広がる沼の水が爆音を上げて宙へと舞った。
「な……!? 」
薄汚れた水と共に飛び出してきたのはこの沼地の主。 その巨体はまたたくまに男の体を押しつぶし、少女の真横へと勢い良く転げでた。 突然の事に呆気にとられる少女であったが、男のいた場所に広がる肉塊と血だまりに彼女は現実へと引き戻された。
――化け物ッ!?
ゴロゴロと地面に転がり続けている化け物を尻目に、彼女はパッと弾かれたように動き出す。 体は恐怖で動かないかとも思われたが、そんな場合ではない。 無理にでも動かない体を動かさなければ死んでしまう状況――それが幼い彼女の体を無意識のうちに動かしたのだ。 駆け出したと同時に、なんとか動く両手で地面に転がるナイフを掴み、一気に駆け出す。 幸いに化け物はまだ動き出す気配がない、地面の上――いや沼の泥を体につけているのに夢中のようだ。 だが数m程離れたところで化け物の目線は少女を捉える。
――逃がさない。
動き出した化け物の巨体を尻目に、彼女は必死に駆ける。
――逃げないとッ……!
こうして幼き少女と、泥に塗れた化け物の鬼ごっこが始まった――。
---------------------------------------
>>93 そう言ってくださると助かります(-_-;) 自分のペースで無理なく完結をできるように頑張りたい(笑) クッキングパパはあの顎のイメージしかないw 言いこと言いますね、さすがパパ(#^.^#)
>>94 まさかの続きが気になる(笑)
|
Re: 【3‐5更新】書き物的なもの【コメA返あり】( No.96 ) |
- 日時: 2013/08/10 21:14
- 名前: ちょむすけさん ◆39JCODjUas (ID: L.4Xtcva)
>>95 死んでもやりたくない鬼ごっこですねww
ボルボ怖すぎwwww |
Re: 【3‐5更新】書き物的なもの【コメA返あり】( No.97 ) |
- 日時: 2013/08/12 01:28
- 名前: 普通の人 ◆QNVb9TuO3Q (ID: FrbD0cgG)
支援age しろさん続きを楽しみにしています |
ロレックスコピー( No.98 ) |
- 日時: 2013/08/12 14:36
- 名前: ロレックスコピー (ID: WVY6yISK)
ロレックスコピ1節(つ)1號新しい電池と小さい電池をつないで、30時間後に2電池のニュースBi自然は平衡がとれていて、それから小さい電池をとって静かになって24時間置いた後にすぐ使うことができます。ロレックスコピ小さい電池は充電することに成功するかどうか、電池の内在する品質と関係がありますロレックスコピ。 |
Re: 【3‐5更新】書き物的なもの【コメA返あり】( No.99 ) |
- 日時: 2013/08/12 15:23
- 名前: 普通の人 ◆QNVb9TuO3Q (ID: FrbD0cgG)
>>98 支援ageありがとーございまーす |
Re: 【3‐5更新】書き物的なもの【コメA返あり】( No.100 ) |
- 日時: 2013/08/13 16:15
- 名前: しろ (ID: qHIzvO13)
>>96 確かにこんな化け物と鬼ごっこは断固拒否w だけども少女ちゃんには頑張ってもらいます(`・ω・´)
>>97‐>>99 ご支援ありでがとうございます! ロレックスすごい(笑)
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Re: 【3‐5更新】書き物的なもの【コメB返あり】( No.101 ) |
- 日時: 2013/08/13 18:18
- 名前: 紅魔 ◆epPn8q6vs6 (ID: hNR80WoL)
ボルボを倒せる奴は現れるのだろうか・・・ww
う〜、楽しみ! |
Re: 【3‐5更新】書き物的なもの【コメB返あり】( No.102 ) |
- 日時: 2013/08/14 04:01
- 名前: ゴースト (ID: 02ihJDag)
>>101 え、普通に考えて最後は主人公達が倒すでしょ。
……はっ! しまった、空気を読まずに面白みのないマジレスしてしまった!!
い、一体誰があんな強敵を倒せるんだろうな! す、すごい戦いになりそうだ! |
Re: 【3‐5更新】書き物的なもの【コメB返あり】( No.103 ) |
- 日時: 2013/08/14 10:12
- 名前: バキュラ ◆pwSTe1GvSo (ID: sN3.oGYp)
>>102 ゴーストの普通レスってあんまないよね。
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Re: 【3‐5更新】書き物的なもの【コメB返あり】( No.104 ) |
- 日時: 2013/08/14 14:19
- 名前: 紅魔 ◆epPn8q6vs6 (ID: 2cRvjlu0)
>>102 あっ・・・。Z(°д°)
い、いや、ホント誰が倒すんだろうな! アハハ・・・。
>>103 確かにww |
Re: 【3‐5更新】書き物的なもの【コメB返あり】( No.105 ) |
- 日時: 2013/08/14 14:52
- 名前: しろ (ID: qu/DrH2x)
>>101‐>>102 そうですね、普通に考えたらまぁ主人公側の誰かが倒すでしょうw しかし普通に勝たせることはしません(`・ω・´) それなりの犠牲も戦いにはつきものですー
>>103 喜ばしい事なのかな?(笑)
|
Re: 【3‐5更新】書き物的なもの【コメC返あり】( No.106 ) |
- 日時: 2013/08/15 10:17
- 名前: 紅魔 ◆epPn8q6vs6 (ID: ch1iXOv.)
>>105 wktk ×2
楽しみや〜ww |
Re: 【3‐5更新】書き物的なもの【コメC返あり】( No.107 ) |
- 日時: 2013/08/17 21:00
- 名前: しろ (ID: bYDysqEC)
「ちッ……臭ぇな」
悪態をつくセーヤの横で頷くセナ。その後ろには無言で腕を組むトール。 彼らはセズナの街を離れ、例の沼地へと足を踏み入れていた。 水の腐敗する臭いだけでなく、何か肉が腐った様な臭いが入り交じり、彼らの気分を害するものだった。
「それにここは草木が伸び過ぎだ……いざ戦闘になった時、視界が遮られますな」 「そうですね、それにここは地盤が緩い。戦闘時に足を捕られる可能性も否定できませんね」
トールの言葉に同意しつつ、冷静に戦場となりうる場所を読み取るナイゼ。 その顔には街を出立する前の余裕はなかった。 そんな彼らの言葉を遮るように、ナイゼの横に立つ女が口を開いた。
「大丈夫、私達なら勝てるよッ! 絶対ッ! 」
そう言いながら笑みを浮かべる彼女の名はレジーナ・シルバーナ。ナイゼの妹である。 彼女も兄と同じようにハンターとして得物を振るう狩人、その肩には巨大な弩を担いでいた。 眼光が鋭く、どこか人を寄せ付けない風貌をしたナイゼとは違い、人形の様な大きな目とほのかに紅いふっくらとした唇は、どこかしら人形を連想させる容姿である。 だがその顔には至るところに傷が残っており、それは彼女の身に付けている装具から出ている肢体にも多く見える。 それほど激戦をくぐり抜けてきた猛者であるという証拠であろう、体は小さいが、弩を引く腕は男顔負けの太さであった。 ニコニコと微笑むジーナの頭をナイゼは優しく撫でながら微笑み返す。
「そうだな、私達なら大丈夫だろうが……いかなる時も油断はできないからな」 「そうだぜ、ジーナ。ナイゼの言うとおり、油断は禁物だぜ。今回の相手は凶暴らしいからな」
そう語るのはケイト・レグ。ナイゼの友であり、彼は腰に2m近くはあろうかと思われる程の長刀を佩いていた。 彼は幼い頃からのナイゼの親友らしく、これまで彼と共にハンター稼業を続けてきた。 短髪のナイゼとは違い、肩を超えるほどの黒い長髪に太く繋がった眉毛が特徴的な男である。 顔もゴリラの様に厳つい顔立ちの彼は、背丈もトールと同じほどに高いため、一番三人の中で存在感を放つ存在であった。 そんな彼にジーナは「大丈夫、大丈夫ッ!」と声をかけ、自身の隣にいたセナに笑顔で「ねッ! 」と同意を求めてきた。
「え、ええ。大丈夫ですよ、私達なら」 「ほらねッ!セナちゃんもそう言ってるんだから大丈夫だよ、絶対ッ! 」
苦笑いで応えるセナと、ニコニコと笑顔のレジーナ。 そんな緩い空気に、セーヤは呆れたように肩を竦めた。
「お前のその暢気さは俺様でも羨ましいかぎりだよ」 「隊長も普段は彼女と似たようなもんだろうが」
すかさずセーヤの言葉に鋭いツッコミを入れてきたトールの光る頭を、セーヤは無言でどついた。 勢いよく前の沼地へと倒れ込むトール。頭から沼地へとダイブしていた。
「ちょっと!隊長ッ!? 」 「あっ、すまん。やりすぎた」
その後、彼らが喧嘩になったのは言うまでもない――。
――侵入者を見失った。
彼は小さな得物を見失っていた。 小さな獲物は草の合間を巧みにすり抜け、上手く彼の足を避け、姿を隠した。 元来、あまり視力も嗅覚も良くない彼にとって、小さな得物を探すことは困難な事であり、また疲労するものである。 ゆっくりと歩を進めつつ、周囲を見渡す……が、そうそう見つからない。 彼は小さな目を更に小さく細める。
――疲れた。
体に泥を付着させる重みからか、彼は少々疲れていた。 この泥は己の身を守ってくれる物になり、敵を仕留める為の武器にもなるが……やや重みがある。 そのために彼ら一族は少々疲労しやすい。 その疲労を癒すために彼らはよく眠るのだが、その眠りを取るためには安全な場所でなくてはならない。 それゆえ彼らは異様に自身のテリトリーに侵入者が入ってきたのを拒むのだ。
彼はこれ以上己の疲労を増やすのは得策ではないと考えた。 こうしてあの獲物を探している間にも、また新たな侵入者が己の縄張りに入り込まないという保証はない。 彼はゆっくりと旋回すると、元の来た道へと歩を進め始めた。
――眠りにつこう。
彼の頭にはもはやあの小さな獲物の姿はなく、己の睡眠欲しかなかった――。
---------------------------------------
>>106 お待たせしました(笑) 今ちょっとこれからどのような形式で話を続けていくか考えてます(-_-;)
@今までどおり、1話1話完全に仕上がってから上げるか。 Aとりあえず途中でも出来ている部分のみ徐々に上げて、 最終的に@の完成系へと持っていくか。
よければ皆様のご意見をいただければ幸いですm(_ _)m あとキャラの紹介表みたいなのもあったほうがいいかな? 需要ありそうなら作りたいけど(笑)
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Re: 【3‐6更新】書き物的なもの【ご意見をいただければ】( No.108 ) |
- 日時: 2013/08/16 21:11
- 名前: ランランル〜〜〜♪ (ID: bFSfa1g1)
〉〉107
個人的に1話まとめての方が読みやすいとおもいますw それとキャラの紹介表はそろそろあってもいいかなと、たくさん出てきて誰が誰か分かりづらい気がします
セーヤたちは喧嘩するたびに絆が深まっていく仲なんだろうなぁ、いいね!w |
Re: 【3‐6更新】書き物的なもの【ご意見をいただければ】( No.109 ) |
- 日時: 2013/08/16 23:20
- 名前: 紅魔 ◆39JCODjUas (ID: QJaHKge2)
>>107 やっぱり素晴らしいですね! お疲れ様です!
私も個人的に一話ずつが良いと思うのですが、 しろさんがやり易い方法で良いんじゃないですか? 完璧に書いてから載せるのは相当 お疲れになるでしょうし。 |
Re: 【3‐6更新】書き物的なもの【ご意見をいただければ】( No.110 ) |
- 日時: 2013/08/17 15:59
- 名前: それだけの話 (ID: hvuCn8Cu)
>>107 暑いなかお疲れさまです。
例によって細かい突っ込みをば……。
太刀は「履く」ではなく、「佩く」ですね。
因みに豆知識として、「佩く」だと刃を下向きにして携帯することで、「差す」だと刃を上向きにして携帯する事だそうです。 太刀の場合、戦国時代までは佩いていたようですが、江戸時代からは差していたそうです。
しかし、モンハン世界ですので日本における時代考証は関係ないと思いますが、どちらにせよ2メートルの長さだと腕の長さより長いので、腰に装備していたら抜けないと思うのですが……。 ゲームのように背中に担いで、抜くときには肩に乗せて鞘を落とす、とか?
|
Re: 【3‐6更新】書き物的なもの【ご意見をいただければ】( No.111 ) |
- 日時: 2013/08/17 21:16
- 名前: しろ (ID: bYDysqEC)
>>108 ご意見ありがとうございますm(_ _)m そうですねー今後もキャラは増えるでしょうし キャラ紹介作成する流れで考えようと思います。
セーヤ達一行は喧嘩が絆の元みたいなものですw
>>109 ご意見ありがとうございますm(_ _)m お褒めいただけると嬉しい限りです(#^.^#)
そうですねーでは完成してから上げるようにします。 ランランルーsともご意見が同じようですしw ではこれからもよろしくお付き合いください!
>>110 いつもご指摘ありがとうございます! 本当に助かります(^^ゞ
刀を抜く際の動作はもう大体ケイトというキャラについては決まってまして 一応腰に佩いている設定で続けるつもりです。 ちょっと独特な抜き方になると思いますw
では今後もよろしくお願い致しますm(_ _)m
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Re: 【3‐6更新】書き物的なもの【※返@】( No.112 ) |
- 日時: 2013/08/19 17:10
- 名前: KYハンター ◆CgKhXBtWT2 (ID: P1ET2rqZ)
良い曲でも聴いて書く気力出して下さい(無理にとは言いませんが) 執筆頑張ってください 執筆なんですがword使うと良いのでは?(もうやってれば御免なさい) 保存すれば日を跨げますし・・・・・・ 書き終わったらそれをコピペすれば完成するので楽ですよ |
Re: 【3‐6更新】書き物的なもの【※返@】( No.113 ) |
- 日時: 2013/08/19 21:01
- 名前: しろ (ID: .2iOXHH/)
――どうしてこんな事に……。
少女は震える手でなんとか手にしていたナイフを地面に突き立て、手首を固定していた縄を切る。 両手首はきつく縛られていたからか、縄の跡が赤く残っている。 痛む手首に少女の涙腺が脆くなるが、今はそれでころではない。 口に巻かれている猿轡を外し、とりあえず自由になれた事に少女はまずは安心した。
「どこに……行ったのかしら」
あの巨大な化け物から身を隠す為に、必死に草木をくぐり抜け走ってきた。 なんとか逃げ切り、偶然に見つけた小さな天然の洞窟に身を潜めたが――死にもの狂いで走り抜けた結果、セズナの街への方角を完全に見失ってしまった。 この沼地にはあの化け物だけではなく、他の化け物もいるかもしれない。 早くこの沼地を脱出しなければ、自身の命がない事は明白であった。
「どうしよう……」
ここでじっとしていても助けがくるかは分からず、いずれはあの化け物に見つかるかもしれない。 とはいえこの手持ちのナイフ一本でこの沼地を脱げ出すことができるとは思えない。 どちらにせよ、自身の命の危険が身に迫っているのは変わりはない。
「お父様……」
もうお父様は私を助けるために搜索隊を結成してくれているだろうか? その搜索隊が搜索している箇所はこの沼地なのか……それとも未だに他の場所を探しているのだろうか? それとも……見つからずに探索を……?
少女の頭に巡る考えはどれも絶望的状況のものでしかなかった。 自分の居場所を探索隊が把握しているかも分からないのに、ここで救助を待っても……意味はない。 そうなると必然的に答えは一つになる。
「ここを……抜け出さなくちゃ」
あの化け物や他の化け物に見つからずに、沼地外へと抜け出る。 生存できる可能性は極めて低いが……少女は意を決した。 少女は「よし」と一息つくと、ナイフをギュッと握り締め、草木生い茂る沼地の中へと姿を消した――。
その頃、白銀の空へと居残る事となったレイは厨房にいた。 レイの右手には包丁、左手にはセズナの街海域で捕れる魚類。 レイは手際良く、魚の頭を包丁で落とし、腹を裂き、内蔵を取り出し、丁寧に塩水で洗い流す。 そして身を三枚へとおろしてゆく――その手馴れた捌き方を見て、レイの隣にいた女性の老人が驚嘆の声をあげた。
「レイッ……あんた、手際いいよッ」
この老人、普段は白銀の空にて食事を団員たちの食事を作っている白銀の空の一員である。 もう齢80をゆうに越しているだろうと噂であるが、その真意は定かではない。 その老人の顔にニンマリとした笑顔を返すレイ。実に得意げに鼻を摩る。
「料理とか小さい頃から母さんから教えてもらってたから」
両親とも出稼ぎにでるレイの家では、よくレイが家の炊事をしていた。 それゆえに彼は魚の捌き方も、調理の仕方も良く理解しているのだ。 捌いた魚に適度に塩を塗し、火が煌々と燃えている釜戸の中へと耐熱皿に魚を添えて入れ込む。
「そうかい、あんたが料理得意なら来た当初から手伝わせればよかったね」 「ごめん、なかなか言い出す機会なくてさ」 「いいさね……まぁそれにしても急に料理がしたいって言い出した時はわたしゃぁ驚いたよ」
老人はレイの肩を叩きながら笑う。
「いや……僕にできる事をしたいんだ、ちょっとでも役に立ちたいから」 「そうかい、それは感心なことだね」 「……あの人たちに僕の料理を食べてほしいしね」
セーヤ、トール……そしてセナ。自分には彼らのようにまだ戦う力はない。 今も彼らは化け物との戦いに出向いている。自分と同じ頃の子供を救うために。 自分も戦いたい。一匹でも多くの化け物をこの手で殺したいけど……ついて行った所で足でまといになるのは目に見えている。 なら今は彼らを少しでもサポートして、今は自分の代わりに多くの化け物を殺してもらうんだ。
腰に佩いている短剣にそっとレイは手を添え、目を瞑る。 その目には、今もなお鮮明に映るあの飛竜の姿が写っていた――。
---------------------------------------
>>112 応援ありがとうございます! 執筆には基本的にメモ帳で行なっております。 わたしにはちょっとwordは見づらくて(;´Д`) アドバイス、ありがとうございますm(_ _)m
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Re: 【3‐7更新】書き物的なもの【※返A】( No.114 ) |
- 日時: 2013/08/21 09:20
- 名前: KYハンター ◆CgKhXBtWT2 (ID: wQpbzEgL)
>>113 wordは見ずらいんですか・・・・・・ 最近更新ペース速いですね では又ですが良い曲持ってきました(オイッ また良い曲持ってきますよ 短文失礼しました
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Re: 【3‐7更新】書き物的なもの【※返A】( No.115 ) |
- 日時: 2013/08/25 21:47
- 名前: しろ (ID: RJ3fTJWY)
>>114 うーん…なんというか シンプルゆえに見やすいのかな?(笑)
最近はちょくちょく暇ができるので なんとか続きを書く事ができています(^^ゞ それでも遅筆なんですが(;´Д`)
いつも曲、ありがとうございます♪
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Re: 【3‐7更新】書き物的なもの【※返B】( No.116 ) |
- 日時: 2013/09/05 20:19
- 名前: しろ (ID: 06p9sCFB)
「ねぇねぇ、セナちゃんってさ……彼氏いるの? 」
この娘は何を言っているんだろうか?
「いませんよ」 「へぇー意外ッ! 美人さんだからてっきりモテモテなのかと思ったッ! 」
ジーナは大袈裟に驚く仕草をしながら、前を歩くセナの背中を叩く。 そんなジーナに兄のナイゼが呆れたように「静かにしろ」と声を潜めながらジーナを睨む。
「化け物がどこに潜んでいてもいい場所なんだぞ、少しは静かにしろ」 「はーい」
ジーナはニヤニヤと薄ら笑いをしながら、セナにそっと小声で語りかけた。
「お兄ちゃんね……セナちゃんの事狙ってるよ」 「ぶっ……、そ、そんな」
つい吹き出してしまったセナの様子を楽しげにからかう姿はまるで子供。 セナはもうジーナの声に耳を傾けないと心に誓った時、前を先導するトールが足をピタッとを止めた。
「んっ、どうしました? トールさん? 」 「待て……」
トールはそっと前方を指さす。 トールの指さすその先には深く抉られた地面と、そこに無残に飛び散る血肉であった。 それはまさしく、少女と化け物が遭遇した場所である。
「……何? 」
トールはゆっくりとその場所へ近寄り、そっとその血肉を指で触る。
「まだ生暖かい……それにこの布、服の切れ端か……」 「という事は……人間ですね」
サッと六人は円陣を組み、周囲を警戒する。 この死体がこうなるきっかけとなった何かが近くに潜んでいる可能性があるからだ。 弓を構えながらセナは軽く舌打ちをする。伸びきった草木で視界が悪い。
「隊長、ここで襲撃されたらちょっと……」 「そうだな……ここじゃ目も効かねぇし、沼に囲まれてるから動きづらい」 「すぐに移動をしたほうがいいですね」
ナイゼの提案に皆が頷き、陣形を組みつつゆっくりとその場を離脱してゆく。 とにかく自分たちの戦いやすい位置までの移動を最優先しなくてはならない。 戦士達の顔には、先程までの余裕の表情はなかった――。
彼は疲れていた。 いくら住み慣れた沼地とはいえ、小さな獲物を追い回したのだ。 その巨体にはいくらかの疲労が溜まっていた。 ゆっくりと沼の中を潜伏しつつ、己の住処へと向かう彼。 だが……。
――?
何かが動いた。 彼は沼の中から覗かせている小さな目を更に細める。 生い茂る草木、沼地に頭を覗かせている岩、途中から腐れ果て折れている木々――全てに意識を集中する。
――!
あの生物の姿を彼は草木ごしに確認した。 しかし数を把握することはできない。 ゆっくり、ゆっくりとその獲物の姿が見えた付近へと近づいてゆく。
――。 ――!
数は6匹。この程度の数ならつい近頃に殺した。 彼は音をたてないように沼の中へと身を潜める。 眼前の獲物を狩る為に。そして己のテリトリーを守るために――。
|
Re: 【3‐8更新】書き物的なもの【※返B】( No.117 ) |
- 日時: 2013/08/29 22:29
- 名前: 、 (ID: I6qWVKoj)
ついにセーヤ一団vs超巨悪ドラゴンか 期待 |
Re: 【3‐8更新】書き物的なもの【※返B】( No.118 ) |
- 日時: 2013/08/29 23:16
- 名前: 紅魔 ◆39JCODjUas (ID: a3GvlIWs)
もう本として売ってもおかしくないんじゃないですか?ww本当に良いですねー。 |
Re: 【3‐8更新】書き物的なもの【※返B】( No.119 ) |
- 日時: 2013/08/30 12:17
- 名前: それだけの話 (ID: j5FlEY3C)
お疲れさまです。
少し気になったんですが。
>だが戦士達は知らない。この無残な遺体は化け物のテリトリーへと侵入したせいで殺されたということを。 そしてまた、自分たちも同じ状況下にいる事を彼らは誰一人、気がついていなかった――。
この部分なんですが。 事前に危険なモンスターがいるという情報は出ていますし、そもそもモンスター退治のためにここまで来ている訳ですから、状況から見て気づかないということはあり得ないような。 というか、もう戦闘体勢に入ってますよね?(笑)
恒例の(?)この先の斜め上予想。 ポイントはあの誘拐された女の子。そう、あの子が最後にボルボロスを仕留める!! いかがでしょうか?(笑) |
Re: 【3‐8更新】書き物的なもの【※返B】( No.120 ) |
- 日時: 2013/08/30 12:27
- 名前: 紅魔 ◆39JCODjUas (ID: 1Mypg.i0)
>>119 女の子強いなww あ、トドメって意味? |
Re: 【3‐8更新】書き物的なもの【※返B】( No.121 ) |
- 日時: 2013/08/30 12:33
- 名前: しろ (ID: lTvQqujp)
>>117 長らくお待たせしました! そろそろ戦わなくてはグダグダになりそうですし(笑)
>>118 そこまでのレベルではまだまだ(;´Д`) だけでもそこまで過大評価してくださるのは 本当に嬉しいです!
>>119 いつもありがとうございます!修正しました! 確かにちょっとおかしかったですね(笑) 読み返して自分も納得(-_-;)
おーすごい斜め予想の展開! はたまたその通りになるのでしょうか?w
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Re: 【3‐8更新】書き物的なもの【※返C】( No.122 ) |
- 日時: 2013/08/31 23:01
- 名前: ランランル〜〜〜♪ (ID: beowvEcf)
しろs
えっと、ひとつ修正を細かいことなのですが >セナはもうジーナを声に耳を傾けないと心に誓った時、前を先導するトールが足をピタッとを止めた。
この部分、 セナはもうジーナの声に耳を傾けない ではないのかと、、、細かいことですが、気になったので報告をさせてもらいました。
ついに、戦いの時が来ましたか!逃げ延びた少女のその後も気になりますが、ボルボロスを倒せるのか、逆に倒されてしまう人が出てくるのか楽しみです! 長文失礼しました。
|
Re: 【3‐8更新】書き物的なもの【※返C】( No.123 ) |
- 日時: 2013/09/05 20:22
- 名前: しろ (ID: 06p9sCFB)
>>122
ご指摘ありがとうございます! 遅れながらも修正致しましたm(_ _)m
ようやく戦いに踏み切れました(笑) 無事に皆が揃って勝利できるほど甘い敵なのか…? そこはお楽しみに!
|
Re: 【3‐8更新】書き物的なもの【※返D】( No.124 ) |
- 日時: 2013/09/06 21:25
- 名前: しろ (ID: H5iPU0I/)
「……ッ!? 」 「ん、どうした? ケイト? 」 「いや……今何か動いたような気が……」
ケイトは腰に佩いた刀を、腰のベルトに括り止めていた紐ごと取り外し刀を鞘ごと地面に突き刺す。 ゆっくりと鞘から刀身を引き抜き、刀を斜め下へと構え、自身の前方に広がる沼地を睨みつける。 彼の眼前に広がるどす黒い沼地には、沼の中から鬱蒼と生い茂った草木と……岩。
「おい、さっきあんな岩なかったぞ」 「岩……? それは確かか? 」 「あぁ……確かにあんな岩はなかっ……」
ケイトの言葉は、彼らに降り注いだ突然の泥の雨によって遮られた。 大量の泥水が降り注ぐと共に泥の中から飛び出してきたのは巨大な岩……それは彼らの頭上を軽く飛び越え、地面へと転がり出た。 泥の雨と転がり出た岩が地面を転がった勢いで撒き散らされた砂のカーテンにハンター達は驚愕を隠しきれない。
「なッ、なんなんだッ!? 」 「ちっ、化け物に決まってんだろうがッ! 」 「仕方ありません、舞台はこちらに不利ですが……皆さん迎撃をッ! 」
ナイゼの言葉が終わらないうちに、セナの弓から放たれた一筋の矢。 それは宙に渦巻く砂の煙を打ち切り、真っ直ぐに岩が転げ落ちた箇所へと疾走する。 そしてすぐさま砂煙の中から鳴り響く矢尻が弾かれた金属音――矢の疾走は、強固な岩の前には無意味であった。
「弾かれたッ!? 」 「だったら……これはどう!? 」
続きざまにジーナの弩が爆音を鳴らし、一筋の弾道を描きながら獲物へと放たれる弾。 それはターゲットへの進路を突き進みながら、放たれた衝撃により自身の殻を打ち破り、内部より無数の鉄の破片を放出する。 無数の金属音が噴煙の中から鳴り響き、砂煙の中から何かのうめき声が漏れ出てきた。
「よし、奴に行動する機会を与えるなッ! 一気に殺せッ! 」
砂煙が徐々に薄まる中、一気に目標へと駆け寄ってゆくセーヤ。 それに続くように盾を眼前に掲げながら突撃するトールとナイゼ、そして刀を構えつつ躙り寄るケイト。
「隊長ッ! 」
セナの声が響くと同時に、先頭を駆けるセーヤに向けて、砂煙を切り裂くようにして降り下ろされる小さな岩。
「うおッ!? 」
瞬時に大剣を自身の頭の上にかざし、その一撃を弾く――が、その一撃でセーヤは勢い良く後ろへと弾き飛ばされた。 セーヤの体をなんなく弾き飛ばす力に目標に攻勢をかける構えを三人の男達は解き、一時後方へと下がり、体制を崩しているセーヤを庇うように前面に立つ。 すぐに立ち上がり大剣を構え直すセーヤ、その顔には怒りで額に青筋が浮だっていた。
「ちッ……あんにゃろぉ……流石に馬鹿力だな」 「怪我はありませんか? 」 「あぁ……大丈夫だ」
消え去った砂煙の中から姿を表したのは、ハンター達が手配書で見た化け物の姿と酷似していた。 その化け物は巨大な尻尾を悠々と己の頭の上で揺らし、不敵にハンター達を見下ろす。先ほどセーヤを弾き飛ばしたのも、あの尻尾であろう。 巨体にはジーナの放った攻撃による負傷の後は見て取れない――代わりに化け物の足元に無数の泥の塊が転がっていた。
「あの泥……あれでこちらの攻撃を防いだ……? 」 「そうだろうな、じゃなきゃ無傷で済むはずないからな」
再び各々の武器を構え体制を整えるハンター達に、化け物は鼓膜を切り裂かんばかりの咆哮をあげる。 「貴様らを生かして返さない」とでも言うかのごとく荒々しいその咆哮は、空気を振動し、セナが構えていた矢を弾き飛ばすほどである。
「くぅ!? うるせぇ! 」 「……セーヤさん、来ますよッ! 」
化け物の咆哮に怯むことなく動き出したナイゼに続き、トールも化け物の側面を取るべく右側へと駆け出した。 出遅れたセーヤとケイトもそれぞれ正面と左に別れ、化け物を包囲するように位置取りを行う。 それを後方からサポートする形となるセナとジーナ――だが、それらを迎え撃つ竜の顔にはどこかしら余裕の面影があった――。
|
Re: 【3‐9更新】書き物的なもの【※返D】( No.125 ) |
- 日時: 2013/09/08 19:08
- 名前: ちょむすけさん ◆39JCODjUas (ID: q.DuTA6p)
MH4に続きこちらの小説もついにボルボ戦!! ボルボの恐ろしさが尋常じゃないww
続き頑張って下さい♪ |
Re: 【3‐9更新】書き物的なもの【※返D】( No.126 ) |
- 日時: 2013/09/14 17:09
- 名前: ランランル〜〜〜♪ (ID: .cCt8hYg)
支援age
しろs ゆっくりでも全然いいので、いい作品にしてくださいね! |
Re: 【3‐9更新】書き物的なもの【※返D】( No.127 ) |
- 日時: 2013/09/19 20:30
- 名前: ランランル〜〜〜♪ (ID: a03ZYMpF)
支援age ごゆっくりどうぞ! |
Re: 【3‐9更新】書き物的なもの【※返D】( No.128 ) |
- 日時: 2013/09/23 16:00
- 名前: KYハンター ◆CgKhXBtWT2 (ID: 0j/8t5wE)
支援上げ 中々まとまった時間が無かったので支援遅れました 今日は2曲持ってきました これ位しか出来ないですが、出来る範囲でこれからも支援しようと思います 完成するのを楽しみにしています♪
|
Re: 【3‐9更新】書き物的なもの【※返D】( No.129 ) |
- 日時: 2013/09/25 17:28
- 名前: しろ (ID: RbY9nfFt)
己を踏みつけようと降りおろされた化け物の右足をすり抜け、トールは左足へと狙いを定める。 狩りの基本はまず敵の動きを止める事――トールは飛び散る土を盾で払いのけながら、宙を舞う。
「ッせいッ!! 」
勢い良く振り下ろした剣は金属音を響かせながら、火花を散らせる――弾かれた。 刀剣での攻撃は案の定この化け物には通らない――トールは苦々しげに舌打ちをしつつ、化け物の足元より離脱する。
「せぇりゃぁあぁ! 」
トールの攻撃に続くようにナイゼも盾を構えつつ、一気に化け物との距離を詰める。 それを迎え撃つように化け物はナイゼを噛み砕こうと巨大な口を開け、彼に噛み付こうとするが……。
「ふんッ! 」
それを待っていたとばかりにナイゼは左手に持った構えていた盾を思いっきり化け物の頭部へと打ち付け、攻撃を逸らした。 不意をつかれた化け物が動きを止めてしまう。ナイゼがその一瞬の隙を逃すわけはない。
「もらったぁ! 」
よろけている化け物の頭部――ジーナの攻撃により剥がされた泥によって保護されていない眼下を槍で突く。 それはゆっくりと化け物の皮膚を貫き、肉を抉ってゆく――化け物は咆哮をあげながら、頭部を槍とは反対側へと振り槍を引き抜きつつ尻尾をナイゼへと叩きつける。 盾でその攻撃を受けつつ、冷静に化け物との距離を再度取り、反撃の様子を伺う。
「兄ちゃんやるじゃんッ! 」 「無駄口を叩いてないで援護しろッ! 」
「はいはい」と舌舐めずりをしつつ、ジーナは弩の狙いを対象の足に定める。 先程も述べたとおり、狩りの基本は獲物の足を止める事――ジーナは周囲を囲まれ動きのとれない化け物の右足に向け、弩を放つ。 沼地に轟く爆音と空気の振動――弩から発射された弾丸は、真っ直ぐに対象の右足へと直進する。 それは爆発の衝撃で空が破れ、対象に当たる前にもう一度内部の火薬が着火――その結果、獲物の足を貫通するという代物であった。 ジーナの放った弾は狙い通りに化け物の右足に直撃、それは対象の泥を打ち砕き、化け物の肉を抉るには十分な破壊力だった。
「あったりー! 」
流石の巨体もその攻撃には耐え切れず、体制を崩し、地面へと倒れ伏す。 その隙をハンター達が逃すはずもない――始めに動いたのはケイト。 彼はすかさず化け物の負傷している右足の前へと駆け、手にしている太刀を切りつけるのではなく、突き刺す。 化け物の泥が刀剣類の武器から身を保護しているのなら、それがない箇所を重心的に突けばいい――そうすれば殻などないも等しい。 右足より吹き出す血――化け物は身を悶えさせつつ、尻尾をケイトへと向けて叩きつけるが……。
「遅い、遅いッ! 」
既に敵の攻撃範囲より身を引いていたケイト――これが軽装備者の優れるところだろう。 攻めるときは攻め、引くときはすぐさま引く。これができない者は狩りでは『死』しかない。 ゴロゴロと地面を転がる化け物に休ませることなく自慢の得物を叩きつけるのはセーヤ。 彼は一気に化け物の頭部へと距離を縮め、大剣を振りかぶり、一気に振り下ろす。
「なろおぉぉおッ! 」
当然攻撃は化け物の付着させている泥と岩により阻まれるが――それで構わない。 セーヤの馬鹿力と、大剣の重さによる叩きつける攻撃には斬る必要はない。叩けばいいのだ。 思いっきり頭部を大剣で殴られた化け物は、一瞬意識を失いそうになりながらも、沼の中へと転がり落ちた。
「あッ! 兄ちゃん、あいつ逃げるよッ! 」 「ここで逃がすわけにはいかないが……これでは手が出せない」
沼の中に身を隠してから姿を表さない化け物――そこに身を隠されればハンター達は追撃する事はできない。 ハンター達は周囲を警戒しつつ、敵の姿を探すが――化け物はいっこうに姿を見せる気配がない。 セーヤは大剣を地面に突き刺し、額の汗を拭いながら苛立たしげに舌打ちをする。
「とりあえず……行方不明の嬢ちゃんを探すか? ここにいつまでもいるのも考えもんだしな」 「そうですね、セーヤさんの言うとおりです。今は保護対象者を見つけましょう。 奴を狩るより、そちらが優先する事項ですしね」
ハンター達はひとまず化け物が姿を消した沼地より距離をとり、周囲を警戒しつつ、辺りを探索することとした――。
彼は暗い闇の中で考えていた。
――なぜ、殺せない? ――なぜ、自分がこれだけやられている?
確かに先ほどの獲物は、以前に何匹と殺した獲物と同じ。 なのに何故……これほど自分が痛めつけられている? 何故? 何故? 何故?
――数が多いからか? それとも、今までとは違う獲物なのか?
彼はゆっくりと闇の中を潜水しつつ、考える。 奴らを侮っていた。 侮れる相手などではない事を認識した。 ならばどうする? 答えは一つしかない。 自分の狩りのペースに相手を誘い出す――。
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>>125 ようやく戦いの場面へと移れましたw 長かったなぁ(;´Д`)
>>126 いつもご支援ありがとうございます! なかなか暇がなく…(´;ω;`) 申し訳なさで胸いっぱいです…
>>128 いつもご支援ありがとうございます! 音楽を聴いてると集中して作業できますw 完結まで長い道のりになりそうですが… これからもよろしくお願いします!
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Re: 【3‐10更新】書き物的なもの【※返@】( No.130 ) |
- 日時: 2013/09/30 12:05
- 名前: それだけの話 (ID: dcPInM6m)
久しぶりにこの掲示板を訪れてみたら、やはりモンハン4が発売されたからでしょうね、色々と活気づいていますね。
でも私はゲームそっちのけで小説投稿サイトにはまってしまっておりまして(笑) 素人さんゆえに荒い部分も多々あるのですが、面白い作品が沢山あって、ついつい時間があれば覗いてしまってます。 で、未だにハンターランクは2で止まってしまっております(笑)
そのサイトはオリジナル作品が原則なので、こちらのお話をそのまま持っていくことはできないのですが、しろさんも修行がてら参戦してみてはいかがでしょうか? 応援いたしますよ(笑)
いよいよボルボロスと戦闘開始ですね。 思ったより戦えていますね。もう少し苦戦するかと思ってたのですが。 まあ、そのまま終わるとは思えませんが……(笑)
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Re: 【3‐10更新】書き物的なもの【※返@】( No.131 ) |
- 日時: 2013/10/10 21:41
- 名前: ランランル〜〜〜♪ (ID: n.uLYqQo)
支援上げ
うん、まってますっ |
Re: 【3‐10更新】書き物的なもの【※返@】( No.132 ) |
- 日時: 2013/10/14 09:36
- 名前: KYハンター ◆CgKhXBtWT2 (ID: C1uXVBs7)
支援上げ >>129 ハンター達のフルボッコタイム、と言う事は次はボルボロスのターンですね。解ります どういう風にハンターを追い詰めていくのか楽しみにしてます。
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Re: 【3‐10更新】書き物的なもの【※返@】( No.133 ) |
- 日時: 2013/10/14 21:28
- 名前: しろ (ID: uBJmf/6O)
「今の音……なに……」
少女は、沼地に反響する騒音に怯えながらも、必死に沼地の中を進んでいた。 手には頼りない一本のナイフ……化け物に襲われたら、助かる見込みはない。
「お父様……お母様……」
父と母の笑顔と温もりを生きてまた味わえるのだろうか? 少女の胸は不安で押しつぶされそうであったが――今は立ち止まるわけにはいかない。 前に……前に進まなくては。
「おい、これ……」
セイヤが手にしていたものは、赤い布の切れ端であった。 腐れて折れた木の端に引っかかっていたものを彼は見つけた。 泥で所々汚れてはいるが……まだ破れてから間もない程新しい布地であった。 それが何を意味するか?
「恐らく、人間の衣類、もしくは何かポーチのようなものが引っかかって破けたのでしょう」 「じゃあその女の子の衣類、もしくは持ち物の可能性も? 」
セナの問いにナイゼは頷く。
「彼女もまた化け物に追われている可能性もあります。急ぎましょう」 「そうだな、死なれたら金もどうなるか分からん、急ごう」
セーヤは金の事にしか頭にないのだろうか? セナは呆れつつも、一人で逃げ惑っているかもしれない少女の事を想う。 どうか無事でいて――と。
見つけた――。 彼は草木に紛れ、沼の中から見ていた。 彼らがまずどう動くかを見極めるため、彼はジッと獲物たちを見つめていた。 まずは獲物同士が距離をとるまでは動かない。 一人ずつ、一人ずつ殺して行くしかない。 今はまだ動くときではない――。
「――? 」
何か嫌な感じがする。 誰かに見つめられている様な……。
「どうした? ジーナ? 」
兄が怪訝そうにこちらを見ている。
「ううん、何か見つめられてる感じがして……」 「そうか? お前の勘違いじゃないか? 」
微笑むケイトに私は頬を膨らませた。
「ううん、確かに視線が……」 「まぁ嬢ちゃんがそうゆうなら、警戒を怠ることはないんじゃないか? 」
このオジさん、口は悪いけど、悪い人じゃない。 ちょっと小太りだけど、もう少し若ければこうゆう人を好きになっていたかもしれない。 セーヤさんの口添えで、「それもそうですね」と同調した兄に、ケイトはやれやれと肩をすくまていた。 ケイトは兄さんが狩りに誘った友人だからこそ付き合いはあるけど……正直、あまり好みじゃない。 何をしても、何を言っても否定的に返されるから――兄さんは気に入ってるみたいだけど。
「どうしたの、ジーナちゃん? 」 「えッ……」
もう私以外は前に進んでいた。セナちゃんが早くおいでと手招きしてる。 あの子……顔立ち整いすぎだよなぁ、正直羨ましい。
「んッ、なんでもないよ」 「そう? じゃあ早く行きましょ、置いていかれますし」
なんで年下に敬語なんだろ――?あっ、もう皆あんな前に行ってる。 私も行かな――。
「ッ! ジーナちゃんッ! 」 「えッ……? 」
セナの叫び声を最後、水を弾く凄まじい轟音。 二つの音を最後に、ジーナの視界は暗闇に包まれた――。
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>>130 お久しぶりです!確かに掲示板、一気に活気づきましたね!
小説サイトですかぁーオリジナル作品も書いてみたいですねw まずはこっちの完結が先かな?(笑)
MH、まだ買ってないんですよね(-_-;) まだやるのは先になりそうですw
今からボルボちゃんのターンかな?w
>>131 いつもご支援ありがとうございます!
>>132 やっぱりやられてるだけじゃ盛り上がりませんからねw ボルボちゃんの活躍をご期待下さい(笑)
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Re: 【3‐11更新】書き物的なもの【※返@】( No.134 ) |
- 日時: 2013/10/17 16:54
- 名前: ランランル〜〜〜♪ (ID: 7Czh89DX)
支援上げ
前にもどなたかが予想していましたが、なんだか少女がボルボちゃんに最後のトドメを刺しそうですね(笑)
完結まで頑張ってくださいっ |
Re: 【3‐11更新】書き物的なもの【※返@】( No.135 ) |
- 日時: 2013/10/25 19:47
- 名前: KYハンター ◆CgKhXBtWT2 (ID: 7ZtCvTiS)
支援上げ ついにボルボロスの反撃タイムですね。 凄く楽しみです♪ 短文失礼しました
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Re: 【3‐11更新】書き物的なもの【※返@】( No.136 ) |
- 日時: 2013/11/08 16:50
- 名前: 双剣 ◆HUQd0j4o36 (ID: VvwRu/Cw)
やっとみつけたので支援上げ 短文失礼 |
Re: 【3‐11更新】書き物的なもの【※返@】( No.137 ) |
- 日時: 2013/11/08 17:01
- 名前: 真・無無無 ◆TpifAK1n8E (ID: TWQhZe0N)
>>136 しろsはもう居ないのでは? 短文失礼 |
Re: 【3‐11更新】書き物的なもの【※返@】( No.138 ) |
- 日時: 2013/11/21 20:44
- 名前: KYハンター ◆CgKhXBtWT2 (ID: 0j/8t5wE)
>>137 白さんはペース遅いので仕方ないと思いますよ。 それともどこかで修行中とか・・・・・・ 短文、失礼しました |