- 日時: 2014/05/03 02:35
- 名前: 翼の勇車 (ID: RHJjSo1J)
>>249 ありがとうございます! ……毎回我に合わせていただいてすいません。
クロスオーバー ダブルサクライザー×翼の勇車
五章 逃げた先と最終兵器
ライラside
「まいったねぇ……」 ニーリンに促され逃げたライラ、エリス、マガレットの三人は現在、広い野原のような所へ出ていた。 「ニーリンさん、大丈夫でしょうか……」 マガレットが心配そうにライラの顔を見る。 「ま、大丈夫でしょ」 軽く流すライラ。しかし彼女にしても、心配な事に変わりはなかった。 「あっ」 会話を終えたマガレットが、急に走りだした。慌てて追いかける二人。 「すごい……」 野原の先は崖になっており、そこからは素晴らしい絶景を見ることができたのだ。 「おお、こりゃあすごいねえ、後で他の皆にも話してやらにゃあ」 ライラも追いつき、素直に感心する。 「……まってくださ……きゃうんっ!?」 後ろから走ってきたエリスだったが、足元の小石に躓いてダイブ、崖目掛けて転がっていった。 「エリスさん!」 「あの馬鹿!」 慌ててエリスの腕を掴むマガレット。しかし勢いを殺せず、二人一緒に崖から落ちたところでライラがマガレットの足を掴んで踏み留まった。 「ラ、ライラさん……」 恐怖に顔を歪めるマガレット。エリスは顔が下を向いているので表情は分からなかった。 「どうにか……」 ライラの怪力があれば二人を持ち上げることも容易いのだが、足元の岩が崩れかけており、下手に踏ん張ると落ちてしまいそうだった。 《ガラ……ガラガラッ》 「まずっ……!」 ついに足場が倒壊し、ライラの体が崖に吸い込まれそうになった……その時だった。何かに空いている方の手を掴まれ、一気に引っ張り上げられたのだ。 「……え?」 「あわわ……」 引き上げられ、地面にしりもちをついた二人と、まだ腕を握られて立ち尽くしているライラが見たのは……片目に傷を負っている、一匹のドスゲネポスだった。
ギザミside
「うう……」 アストの後ろからこっちを涙目で見てくる、カトリアと呼ばれた女性を見て、ギザミは悩んでいた。自分を受け入れてもらうにはどうしたらいいか。全力で思考を巡らしていると、超大陸で始めてルカに会った時を思い出した。 (そうだ!) 「カトリアさん、でしたっけ? 手品って好きですか?」 アストが一瞬驚いた顔をしたが、すぐにニカッと笑った。いい考えだと思ったのだろう。 「手……手品?」 「はい。じゃ、いきますよ?」 ギザミはヤド内部に常備しているトランプを取り出した。人間が使うのと同じ大きさの物である。 「何の変哲も無いオランプがあります」 プロのポーカー顔負けのスピード、かつ綺麗な手(ハサミ)さばきでカードをきると、目の前の平たい石の上にサーッと並べた。この一連の動作を目の当たりにした一同はひどく驚いたようで、ユリに至っては食い入るように身を乗り出していた。 「はい、じゃあユリちゃん、この中から一枚だけ選んで? ボクは見ないから」 そう言って、ヤドの中に隠れるギザミ。 「選んだら二人に見せてくださいね」 ヤドの中から聞こえる声に従い、選んだカードをアストとカトリアに見せるユリ。自分も改めて確認したころ、再び声が聞こえた。 「そろそろかな? じゃあ、適当にさっきの所に戻して、ざっときってくれる?」 いうとおりにトランプの並べられた所にカードを戻し、ぎこちない手つきで混ぜるユリ。 「よいしょっと」 ヤドから顔を出したギザミは、トランプの束を受け取り、ハサミをかざす。 「エイッ」 そう言ってから、束の一番上のカードをゆっくりと持ち上げ、これまたゆっくりと三人に見せてきた。 「「「……!」」」 驚きで目を見開く三人。ギザミの掲げたそのカードは、先ほどユリが引いたのと同じ物であった。 (さて、これでどうかな……) |