- 日時: 2017/11/30 02:30
- 名前: †邪神† (ID: uUi4nq1L)
強い力を持つ巫女を疎ましく思っていた大蛇はそれを承諾、食べやすいようにと村人達に腕を切り落とさせ、達磨状態の巫女を食らった。
そうして、村人達は一時の平穏を得た。
後になって、巫女の家の者が思案した計画だった事が明かされる。この時の巫女の家族は六人。異変はすぐに起きた。
大蛇がある日から姿を見せなくなり、襲うものがいなくなったはずの村で次々と人が死んでいった。
村の中で、山の中で、森の中で。
死んだ者達はみな、右腕・左腕のどちらかが無くなっていた。
十八人が死亡。(巫女の家族六人を含む)
生き残ったのは四人だった。
おじさんと葵が交互に説明した。
伯父「これがいつからどこで伝わってたのかはわからんが、あの箱は一定の周期で場所を移して供養されてきた。その時々によって、管理者は違う。箱に家紋みたいのがあったろ?ありゃ今まで供養の場所を提供してきた家々だ。うちみたいな家柄のもんでそれを審査する集まりがあってな、そこで決められてる。まれに自ら志願してくるバカもいるがな。」
さらにこう続けた
伯父「管理者以外にゃ“かんかんだら”に関する話は一切知らされない。付近の住民には、いわくがあるって事と万が一の時の相談先だけが管理者から伝えられる。伝える際には相談役、つまりわしらみたいな家柄のもんが立ち合うから、それだけでいわくの意味を理解するわけだ。今の相談役はうちじゃねえが、至急って事で昨日うちに連絡がまわってきた。」
どうやら、一昨日Bのお母さんが電話していたのは別の人らしいことが分かった。話を聞いた先方は、Bを連れてこの家を尋ね、話し合った結果こちらに任せたらしい。Bのお母さんは俺達があそこに行っていた間に、すでにそこに電話していて、ある程度詳細を聞かされていたようだ。
葵「基本的に、山もしくは森に移されます。御覧になられたと思いますが、六本の木と六本の縄は村人達を、六本の棒は巫女の家族を、四隅に置かれた壺は生き残られた四人を表しています。そして、六本の棒が成している形こそが、巫女を表しているのです。」
葵「なぜこのような形式がとられるようになったか。箱自体に関しましても、いつからあのようなものだったか。私の家を含め、今現在では伝わっている以上の詳細を知る者はいないでしょう。」
ただ、最も語られてる説としては、生き残った四人が巫女の家で怨念を鎮めるためのありとあらゆる事柄を調べ、その結果生まれた独自の形式ではないか…という事らしい。柵に関しては鈴だけが形式に従ったもので、綱とかはこの時の管理者によるものだったらしい。
伯父「うちの者で“かんかんだら”を祓ったのは過去に何人かいるがな、その全員が二、三年以内に死んでんだ。ある日突然な。事を起こした当事者もほとんど助かってない。それだけ難しいんだよ。」
ここまで話を聞いても、俺達三人は完全に話に着いていけず、置いてかれたままでいた。
だが、事態は一変した。
伯父「お母さん、どれだけやばいものかは何となくわかったでしょう。さっきも言いましたが、棒を動かしてさえいなければ何とかなりました。しかし、今回はだめでしょうな。」
B母「お願いします。何とかしてやれないでしょうか。私の責任なんです。どうかお願いします。」
Bのお母さんは引かなかった。一片たりともお母さんのせいだとは思えないのに、自分の責任にしてまで頭を下げ、必死で頼み続けてた。でも泣きながらとかじゃなくて、何か覚悟したような表情だった。
伯父「何とかしてやりたいのはわしらも同じです。しかし、棒を動かしたうえであれを見ちまったんなら…。お前らも見たんだろう。お前らが見たのが大蛇に食われたっつう巫女だ。下半身も見たろ?それであの形の意味がわかっただろ?」
「…えっ?」
俺とAは言葉の意味がわからなかった。下半身?俺達が見たのは上半身だけのはずだ。
A「あの、下半身っていうのは…?上半身なら見ましたけど…」
それを聞いておじさんと葵が驚いた。
伯父「おいおい何言ってんだ?お前らあの棒を動かしたんだろ?だったら下半身を見てるはずだ。」
葵「あなた方の前に現われた彼女は、下半身がなかったのですか?では、腕は何本でしたか?」
俺「腕は六本でした。左右三本ずつです。でも、下半身はありませんでした。」
俺とAは互いに確認しながらそう答えた。
すると急におじさんがまた身を乗り出し、俺達に詰め寄ってきた。
伯父「間違いねえのか?ほんとに下半身を見てねえんだな?」
俺「は、はい…」
おじさんは再びBのお母さんに顔を向け、ニコッとして言った。
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