雑談掲示板

【3‐11更新】書き物的なもの【※返@】
  • 日時: 2013/10/14 21:29
  • 名前: しろ (ID: uBJmf/6O)

※この物語には残虐描写、鬱展開多めです。
※苦手な方はご注意ください。

【最新コメ返】(>>133
※タイトルはDまで表記した後、@へループする予定です。

【目次】

=第0話:襲撃=
>>1>>2>>3
>>4>>6

====================
>>2の修正…文章修正(6.18)
====================

=第1話:殺戮=
>>7>>8>>9
>>10>>11>>12

====================
・1−6更新(5.20)
====================

=第2話:邂逅=
>>13>>14>>21
>>24:>>34:>>46
:>>52:>>57:>>64

====================
・2−8更新(7.5)
====================

=第3話:=
>>77:>>80:>>84
>>89>>95>>107
>>113>>116>>124
>>129>>133【new】

====================
・3−11更新(10.14)
====================


※↑を順に読んでくだされれば話が繋がります。

ご指摘、ご指導ありましたらお願いします。
コメント等も極力返信していきますー

物語に関する議論もありましたらどうぞ(*・ω・*)


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Re: 【2‐7A更新】書き物的なもの【0‐2修正】 ( No.64 )
  • 日時: 2013/07/05 18:04
  • 名前: しろ (ID: mdvoBE0A)



 己のテリトリーに侵入するものは殺す。
それが彼の信条ゆえに、彼は侵入者を排除した。
体を潰し、噛み砕き、血を飲み干す。彼にとって実に侵入者は弱かった。
そんな獲物も残り一匹――。


「ひぃぃい! 」
 
 男の足元に転がる無残な死体。
それは胴体を潰された者、首から上を噛み切られた者、泥の塊で窒息死した者の亡骸だった。

「あぁぁ!くそッたれ!来るならきやがれ! 」

 震える手で刀を握る男。
今までに感じたことのない恐怖が、男の心の奥底から沸き上がってくる。
男の眼前に化け物の姿はない。一体どこに消えたのか――。

「はぁー……はぁー……ちくしょう!どうして俺が……! 」

 いつもと変わらない仕事となるはずだった。
商人達の荷物の護衛を終え、今頃は酒場で仲間達と酒を酌み交わしているはずであった。
だが……現実は非情である。
信頼する仲間は無残に殺され、一人の商人と荷を運んでいた草食獣も同じ骸となり、生き残ったのは自分といつの間にか逃げていたもう一人の商人だけであった。

「くそッ、こいつが近道なんてしようとするから……こんな目に」

 男は足元に転がる顔のない商人の死体を蹴りながら悪態をつく。
この男がいる沼地からセズナの街までは約2時間、街道を往くよりも4時間以上早く着くことができた。
だが多くの者が沼地を越えず、わざわざ遠回りである街道を往く。それは何故か――。

「くそぉおぉ!どこだッ、姿を見せやがれ!この化け物がッ! 」

 男の周囲に広がるどす黒い色をした沼地――ここに住まう化け物がその原因であった。
その化け物の被害が後を絶たないゆえに皆が皆、遠回りの街道を往くのだ。
それを商人も、この傭兵達も知っていた。
だが、急ぐ商談があるとの事で、倍の金額を出すことを条件として彼らはこの沼地を訪れてしまった。

「はぁー……はぁー……ちくしょう、ちくしょう! 」

 男の背後で、沼の池がボコッと音をたてて息をする。
男はそれに気がついていない。徐々にそれは男へと近づいてゆく。

「くそッ……まだ死にたくない……死にたく……」

 男は己の背後に何者かの気配を感じた。
ゆっくりと顔を後ろへ向ける――そこには先ほどまではなかった、岩の様な突起物があった。
男はそれを見た瞬間、顔を恐怖へと歪め、握りしめていた刀をそれに目がけて振り下ろす。

 男の耳に響き渡る鈍い金属音と、頬を掠り宙へと舞った刀の刃。
男の刀は半分に折れていた。

「うわぁあぁああぁッ!? 」

 男は刀を捨てて逃げ出そうとした。だがもう遅い。
突起物は勢いよく沼の中から飛び出すと、逃げ出そうとしていた男の背へと向けて突き出された。
それが直撃し、たまらず前方へと吹き飛ばされる男。

「あぁぁ……!? 」

 激痛に顔を歪めながらも、男は必死に立ち上がろうとした。
だが男の体は、男の背後から伸びる陰に全身が覆われる。既に彼の後ろにはこの沼の主の姿があった――。


 最後の侵入者を踏みつぶした彼は満足した。
もう己のテリトリーを荒らす者はいない、誰も己の安眠を脅かすものはいない。
安眠……そうだ、少し体を動かしたせいか、酷く疲れた。
少し眠りにつこう、少しだけ。

 そうして沼の主は再び沼池の中へと身を潜め、己の寝床へと向かう。
沼の主が去ったその場には、無残な死体が残されるばかりであった――。



「おい、聞いたか? 」
「何を? お前がカードでぼろ負けした話か? 」
「ちげぇよ、馬鹿。……またあの沼地で死人がでたらしい」
「あーまたか。最近多いなぁ、あの沼地」

 セズナギルド支部――狐目の受付嬢の前で、二人の傭兵が話をしていた。
一人は腰に刀剣を佩き、もう一人は肩に弓を担いでいる。
男達の会話の内容はセズナの街から数十キロ離れたところにある広大な沼地群での話らしい。
その沼地に入った行商団の一員の生き残りが命からがらセズナの街の門まで逃げてきたところからこの話は広まっていた。

「けどまだ死んだかなんてわかってないんだろ? 」
「いやーもう死んでるだろ、三日以上街に戻ってないらしいしな」

 狐目が準備した金が入った袋を受け取りながら、弓の男は肩をすくませる。

「さすがにこれ以上ギルドも野放しにできないんじゃないか」
「そうだな……今回で3件目だし、動くかもな」
「募集されたら……行くか? 」
 
 刀剣を佩いた男は笑いながら首を横に振った。

「いくら金積まれても行く気にならんね」
「そうだな、命なくしちゃ……これの意味ないからな」

 弓の男は金のはいった袋を揺らしてみせる。

「……」

 狐目は刀剣を佩いた男に受け取りの証明書に記入してもらうと、ぺこりと頭を下げた。
男達はそんな彼女にわき目も振らず、受け取った金で何をするかを相談しながら外へと出て行った。

「……」

 一人取り残された彼女は、机から一枚の紙を取り出し、依頼掲示板と書かれている板の前に歩いてゆく。
板に取り出した紙に掲示し、彼女はゆっくりと受付の席へと戻った。
彼女が張り出した紙には、一匹の化け物の絵と大きな文字でその化け物の種別が書かれていた。『獣竜種』と――。

Re: 【2‐8更新】書き物的なもの【0‐2修正】 ( No.65 )
  • 日時: 2013/07/05 18:16
  • 名前: ちょむすけさん  ◆39JCODjUas (ID: fJ.JAqp7)

>>64
ままままままさかボルv・・・。
ガクガクブルブル(((((´д`;)))))

アイツ・・・怖ww

Re: 【2‐8更新】書き物的なもの【0‐2修正】 ( No.66 )
  • 日時: 2013/07/05 21:09
  • 名前: 名無し (ID: jNkJq1Ro)

{速報}とうとう愛読者が500人を突破{速報}

Re: 【2‐8更新】書き物的なもの【0‐2修正】 ( No.67 )
  • 日時: 2013/07/06 12:15
  • 名前: それだけの話 (ID: Q9YCNKEj)

>>64
ただのボルボロスだとしたら、ちょっと強すぎる気がしますね(笑)
いや、護衛についていたハンター達だって、それなりに経験を積んでるはずじゃないですか。
それがなすすべもなく、となると、G級とか特異個体なんでしょうか?

あ、もしかすると……。
ボルボロスだと見せかけて、ブラキディオスだったとか……?
ありませんね、はい(笑)

Re: 【2‐8更新】書き物的なもの【0‐2修正】 ( No.68 )
  • 日時: 2013/07/06 12:28
  • 名前: ちょむすけさん  ◆39JCODjUas (ID: yE8ELPTj)

>>67

護衛ハンターの装備はまさかの
アロイ一式とかww

Re: 【2‐8更新】書き物的なもの【0‐2修正】 ( No.69 )
  • 日時: 2013/07/06 13:55
  • 名前: 「」 (ID: jZXkzwYx)

>>64
ボルボロスってこんなに凶暴かね
獣竜種でここまで凶暴なのはイビルジョーくらいしか思いつかんが

Re: 【2‐8更新】書き物的なもの【0‐2修正】 ( No.70 )
  • 日時: 2013/07/06 14:08
  • 名前: アクロバッテック爺さん (ID: Ti6.QSGf)

>>69大型モンスターは皆狂暴だろ

Re: 【2‐8更新】書き物的なもの【0‐2修正】 ( No.71 )
  • 日時: 2013/07/06 16:44
  • 名前: 双剣 ◆HUQd0j4o36 (ID: /IhWXpO4)

・・・面白い!
はじめまして 双剣といいます。
これからよろしくお願いします!
しろさんは凄い!
&皆さんはもし自分の話が書けたら書きますか?
もし書けたら私が管理する小説スレをたてるのできてください。

Re: 【2‐8更新】書き物的なもの【0‐2修正】 ( No.72 )
  • 日時: 2013/07/06 19:05
  • 名前: しろ (ID: wajcZ6V7)

>>65
トライ登場時は挫折されるほどの強さだったという事で
いい感じに怖くなってますでしょうか?w

>>66
コツコツと更新してきたかいがありました!
やはり見ていただけるとやる気上がりますゆえ(笑)

>>67->>70
強さに関してだいぶ論議されているみたいで嬉しいですw
私の物語では、あくまでゲーム上の設定を拝借しているだけで
ゲーム本体の強さの設定に忠実な訳ではないのです(;´・ω・)

なので人それぞれの捉え方によって
この敵は0分針で倒せたし、こんな強くないだろという方もいますし
私はこの的に2死、なんとか時間ぎりぎりで討伐!という方もいると思います。

なのでゲーム上での強さは本来物語に関係する事はないと思います。
ちなみに縄張りに対する考え方はムービーを参考にしています(笑)

ちなみに傭兵はハンターとは違い、正式な対化け物戦用の訓練は受けていなおらず、能力、装備している武具もだいぶ劣っているとお考えください。

最後にこれからの進展についてのお話ですが…

私の物語では主人公サイドの圧倒的勝利や
起死回生の逆転勝利などの展開は少ないですw
余裕で死人でまくりのダークストーリーです!
苦手な方はこれから先辛いかもですね(笑)

>>71
はじめましてー応援ありがとうございます!
小説スレを建てられるのですね!
管理も大変でしょうが、頑張ってください('∀'*)
私も完結目指して頑張ります!

Re: 【2‐8更新】書き物的なもの【コメ返あり】 ( No.73 )
  • 日時: 2013/07/06 19:10
  • 名前: ちょむすけさん  ◆39JCODjUas (ID: yE8ELPTj)

>>72
ええがなええがな!!
ダークストーリー好きやでぇー!!

ボルボロス初見は倒すことも無理だったww

>>71
書きたいです!でもしろさんみたいに
凄くはありませんがww

Re: 【2‐8更新】書き物的なもの【コメ返あり】 ( No.74 )
  • 日時: 2013/07/07 16:14
  • 名前: 名無し ◆oa6k//3vOQ (ID: zfrYaQ16)

5話ぐらい一気読みしたら眼がぁぁぁ

>>72
今更なんですけど>>46の「皆が皆各々の〜」の部分で
「皆が皆」と二回言ってるんじゃ•••

文系は苦手なんで正しかったらスルーしてもらって結構です

>>71
創作意欲湧いてきた
「はぁっ…うぅっ、糞がッ…」
砂漠の暑さに朦朧としながら男は悪態をつく
だが男は足を止めない、否、止められないのだ、その理由は−
「グゥオオォォォォォ!!」
凄まじい咆哮を唸りながら追ってくる一本角の竜「モノブロス」がいたから
「ぐっ!」突然足元が揺れだす、地震か、違う−奴が地中に潜ったんだ
俺は何でもない荷物運びだ、何故こんな事に−そう思い唇を噛み締める
だが疲労は限界に達していた、砂漠に足を取られ、膝から倒れる
しまった!そう思った刹那、男の体は宙に舞っていた
あぁ、俺はまだ死にたくなかった−悲鳴と共に生暖かい血が飛び散る
…ただし、男のではなく、いままで追っていた竜、ディアブロスの物だった
「破ァ!」Tさんの声と同時に

うん、勿論飽きた

Re: 【2‐8更新】書き物的なもの【コメ返あり】 ( No.75 )
  • 日時: 2013/07/07 19:37
  • 名前: しろ (ID: .hhFuArg)


>>73
 ダーク系統の話となると苦手な方もいると思いますからね(;´・ω・)
好きな方には楽しんでいただけるかなと思います(笑)

>>74
 ご指摘ありがとうございます!確認したところ

【皆が皆】…連語、残らず全部。すべて。

という意味での使用が可能なので、この文で大丈夫なようです。
ご指摘いただけるとこちらも助かりますので、今後ともよろしくお願いしますw

5話一気読みは私も疲れると思います(笑)
Tさんネタは好きです('∀'*)


Re: 【2‐8更新】書き物的なもの【コメA返あり】 ( No.76 )
  • 日時: 2013/07/07 19:44
  • 名前: ちょむすけさん  ◆39JCODjUas (ID: pwv520ry)

しろさんって本当に書くのが上手ですね♪

どうしたらそんなに読みやすくて面白いのが
できるのですか?

Re: 【2‐8更新】書き物的なもの【コメA返あり】 ( No.77 )
  • 日時: 2013/07/08 16:19
  • 名前: しろ (ID: IFsmZYSR)


 青く澄み渡る空、その空を見ている時だけが唯一自分の心が安らぐ時であった。
幼い頃から続けている習慣。大人になった今でもそれは続いている。
空という青いキャンバス――そう、彼は幼い頃から自分の未来の姿を空に描いてきた。
大金持ちで信望のある大行商人、街の政治を司る役人など彼は年相応の夢を空に描いてきたのだ。
だが、今の現実はそのどれでもない。まさにそれとは正反対の道に今は進んでいる。
あの化け物に襲われてからというもの、彼の運命は変わった。
安寧の子供の頃の夢から、あの化け物を自身の手で葬るという死線の夢へと――。



「またここですか、隊長」

 女の声。セーヤは視線を空から落とし、後ろへと向ける。
そこには登ってきた梯子から屋根の上へとひょっこりと顔を出しているセナの顔があった。
セナは屋根の上へと登り、セーヤが腰かけている後ろへと立つ。

「……なんだ」
「なんだとはないでしょ、なんだとは」

 白銀の空の屋根の上――セーヤの姿が建物内にない時は、必ずここにいるという程、彼はこの場所を好いていた。
いつもは豪快な彼が、この場所にいるときだけは別人かと思う程に心穏やかになる。
そのため団員達は彼がここにいるときに何か仕事でミスを犯したときは謝りにくる程だ。

「次の仕事どうするんです?他の団員達は仕事に出てるけど……」
「そうだなぁ……熊の金もこの前の飲みで大半消えたからなぁ」

 この前の飲みとは、レイの祝賀会の事である。
高額なワイン酒とその肴として購入した食事により2000z程を消費し、残った1000zをレイを除いたセーヤ、セナ、トールの3人で折半したのだ。
そのため、今後の食い扶持を稼ぐためには仕事――狩り、もしくは警護をしなくてはならない。
基本的に傭兵団は常に何人かのグループで活動をしており、他の団員達は彼らと同じく狩りや行商人の警護などをして生計を立てている。
本来は傭兵団の長がギルドから仕事を斡旋し、団員の力量に合わせた仕事を回し、その成功報酬の何割かを団長へと収めるのが基本であるが……。
白銀の空ではそうではない。
傭兵団として存在こそはしているものの、仕事の依頼は基本的にギルドより依頼されることなく、ギルド支部にある依頼板より団員達は仕事を請け負う。
そのため、本来は斡旋料として月ごとにギルドに傭兵団からいくらか収める事となっているのだが、この傭兵団にはそれがない。
その利点として、成功報酬は純粋に自分達のものになるうえ、長であるセーヤにも金を渡す必要がない。
純粋に利益だけを求める者達がこの白銀の空へと所属しているのだ。
だが利点があるからには、その反対もある。それは仕事が限定されるということ。
個人の依頼を引き受けるにはそこらの酒場にでもいけばいくらでも安い仕事はあるが、ギルドの依頼については少々違う。
依頼板に回る仕事はギルドが各々の傭兵団に斡旋した仕事を断られた場合にのみ貼り出される。
つまり危険度が高いゆえに各々の傭兵団から断られた仕事であり、その分報酬が高いのがギルドの依頼なのだ。

「この前の飲みは仕方ないでしょ。隊長の我がままであの村を助けたんだから」
「あぁ、そうだな……あいつらもあれで納得して良かったよ」
「まあ皆が皆本当に納得した訳じゃないですけどね、現に3人死んじゃってるし。あ、それと2人行方不明か」
「……」
「けど日頃滅多に飲めない高級なお酒と食べ物出されたら怒るに怒れないんですよ、みんな」

 セナが笑いながら懐から一枚の紙を取り出し、セーヤに手渡した。

「……あん? 」
「それ、ギルドの依頼所から引っぺがしてきたヤツです」
「『獣竜種』……あの沼か? 」

 セナは頷く。

「またあの沼で行方不明者が出たみたいで……さすがにギルドもこれ以上野放しにできないと踏んだみたいです」
「そりゃぁそうだわな、それでこれが貼られたって事は……」
「どの傭兵団も請け負わなかったみたいですね」

 獣竜種と書かれた文字の下には1万zの数字が書かれていた。
彼らが討伐した熊の3倍以上の破格の賞金である。

「今もまだ請け負うギルドは見つかってないみたいですけど……どうします? 」
「どうするもこうするもないだろ、やるぞ」

 セーヤはニッと口元を緩ませ、紙を懐へとしまった。

「それにこれだけの大事なら、俺達はハンター様の補佐役だろうよ」
「そうですね、その紙に書かれていましたけど、数人のハンターの補佐役としての依頼みたいです」
「そうだろ?ならやりようはいくらでもある」

 セーヤは大きく伸びをしながら、立ち上がる。
そこにはもう穏やかな彼の顔はなかった。

「俺は今から支部に行って、こいつを請け負ってくる」
「了解です、隊長」

 セーヤが梯子を下りてゆくのを見送った後、セナは屋根の上に座り込み、そこから見える景色を眺める。
ここからの眺めは商業区までも見渡せる。それほどの高所に狩猟地区は存在しているのだ。
商業都市で小さくうごめく人の群れを目を細めながら見つめるセナ。その顔にはどこか暗い影がさす。

「……」

 もしあの時、あの様な事が起きなければ今では自分もあの平和な商業地区の様な場所に住んでいたのではないか――。
彼女は頭の隅に沸き上がるその思いに苦笑いをしながら、ゆっくりと立ち上がる。

「……過去には戻れない。もう二度と」

 そう呟き、彼女はその場を後にするのだった――。

Re: 【3‐1更新】書き物的なもの【コメA返あり】 ( No.78 )
  • 日時: 2013/07/08 18:47
  • 名前: ランランル〜〜〜♪ (ID: cHAtVHou)

セーヤの態度のかわり方、個人的に好きだなぁw

続きが楽しみ(*^^)ワクワク

Re: 【3‐1更新】書き物的なもの【コメA返あり】 ( No.79 )
  • 日時: 2013/07/09 11:01
  • 名前: しろ (ID: fAJ3Pr9y)


>>76
褒めていただけるとは恐縮です(;^ω^)
とりあえず今まで結構小説とかは読んできたので
それが大きいのかも…最近はまったく読んでないけどw

>>78
意外な2面性ってやつですかねー
セーヤは粗暴ながらも、実は誰よりも仲間想いの一面とかもあるかも…
今後も彼の変化をお楽しみに('∀'*)

Re: 【3‐1更新】書き物的なもの【コメB返あり】 ( No.80 )
  • 日時: 2013/07/10 21:42
  • 名前: しろ (ID: oKBzY9wW)


「おっちゃん!これいくらぁ!? 」
「あぁ!? そりゃぁ5zだぞッ! 」

 商業区は多くの行商人達とその客で賑わっていた。
様々な食材や日用品、果ては武具防具まで揃えている店も露天商として商売をしている。
人々が売買を行う中、団の食料の買い出しに出されたレイも客の中の一人としてその場にいた。

「このパン一斤でぇ!? 」
「あぁあっ!? 当たり前だろぉ! こっちも商売なんだよ、商売ッ! 」

 売買を行う人々の声が飛び交うこの商業区では怒鳴るように言わないと、とてもじゃないが声が相手に届かない。
それほど人の数も多く、値切り合戦も多いという事だ。

「このパン一斤のやつ3つ買うからぁ! 12zぐらいにまけてくんないッ!? 」
「あぁ!?馬鹿言ってんじゃねぇぞ、クソガキッ!嫌なら買うなッ! 」

 さすがに簡単に値引きに応じるほど甘くはないらしい。
それでもレイは諦めずに、食料を取り扱う商人に交渉する。

「じゃあ13zッ! 13zならどうよッ! 」
「あぁんッ!? 15zは15zで変わんないだよ、計算もできねぇのかッ!? 」

 諦めずに交渉するレイとそれに反論する露天商。
熱い日差しが商業地区を包み込む中、二人の討論も白熱してゆく。

「あぁーじゃあ14zッ! こんぐらいならいいだろッ!? 」
「うっとおしい餓鬼だなッ! そろそろ消えねぇと痛い目みるぞッ!? 」

 さすがに露天商の顔が赤く紅潮してきていたため、レイは諦めた。

「分かったよッ! じゃあ15zでいいからッ! 」
「最初から素直に払えばいいんだよッ、クソガキッ! 」

 レイは軽く舌打ちをし、不本意ながらも露天商に15zと背負っていた籠を手渡した。
露天商はそれを受け取ると、パン一斤を3つ籠の中へと放り投げ、レイへと手渡す。

「まいどありッ! 」
「……糞親父」

 レイはそうボソッと呟くと、次の食材を買うために他の露天へと移動しようと身を翻した際、後ろにいた男にぶつかった。

「うわッ!? 」
「おっと」

 男は後ろへと倒れそうになったレイの腕を瞬間的に引っ張り、前へと引きもどす。
体勢を崩しつつも、なんとか転ばないで済んだレイは男に頭を下げる。

「ごめんなさい。気がつかなくて……」
「あぁ、いいよ。気にしないで」

 男は頬笑みながらレイの肩を叩く。
女性の様な中性的な顔立ちに、レイは相手が男ながらも美しいと感じてしまった。
男がレイの横を通り過ぎようと、彼の横に足を踏み出した時、レイは男のベルトにぶらさがった人形に目が惹かれた。

「あっ」
「うんっ? 」

 赤いドレスを身にまとった、ブロンド髪の長い髪をした女の子の人形。
ニッコリとした笑みを浮かべているその人形に、レイはどこかで見たような覚えがあったのだ。

「それ……」
「んっ? あぁ、これ? 知り合いの女の子が落としてたものでね、今からこれを返しに行こうと思ってたんだよ」

 男は微笑みながらその人形を優しく撫でる。

「女の子? 」
「そう、女の子。酷い怪我をしてしまってね、それで見舞いも兼ねて返しに行こうかなって」

 男はまぁ僕のせいだけどねと笑いながら頭をかく。
男の話を聞きながらもレイは必死にその人形をどこで見かけたのかを思い出していたが……どうしてもどこで見たのか思い出せない。
ジッと固まってしまったレイに、男は不思議そうに首をまげて尋ねる。

「どうかしたの? この人形が? 」
「あっ、いえなんでも」

 レイは慌てて首を横に振り、男から目を逸らした。
男はじゃあねとレイに向けて声をかけると、人混みの中へと姿を消してしまった。
一人その場に取り残されたレイは、それから一時の間考え込んでいたが、答えが出ることはなかった。

「思いすごし……かな」

 レイは頭の白い靄を振り払うと、買い出しのために外へと出されたのを思い出し、急いで次の露天へと駆けだすのだった――。

Re: 【3‐2更新】書き物的なもの【コメB返あり】 ( No.81 )
  • 日時: 2013/07/10 23:43
  • 名前: ちょむすけさん  ◆39JCODjUas (ID: q.DuTA6p)

>>80
男がどうしてもロキかと思ってしまう・・・。

Re: 【3‐2更新】書き物的なもの【コメB返あり】 ( No.82 )
  • 日時: 2013/07/11 20:50
  • 名前: 「」 (ID: QDrkJuGQ)

普段おとなしい感じのレイがキャラ崩壊してたな
大声で怒鳴ったり軽く舌打ちしたり
挙げ句の果てには糞親父って…
お前そんなキャラだったか?ってなった

Re: 【3‐2更新】書き物的なもの【コメB返あり】 ( No.83 )
  • 日時: 2013/07/11 21:02
  • 名前: しろ (ID: YTScTlPs)


>>81
それは次の話でお分かりになるかと思いますw
今回でも誰かは分かると思いますが…

>>82
普段共にしてる人物たちが濃いせいで、大人しめに思えてるかもですねw
レイの過去についての話や、彼の普段の生活(今までが非日常)をどのように過ごしているのかを今後書いてゆくつもりですのでそこまで話が進むと彼の性格が分かるかもー
今はまだ彼の性格は2割ほどしか出てないとお思いくださいませ(;^ω^)

Re: 【3‐2更新】書き物的なもの【コメC返あり】 ( No.84 )
  • 日時: 2013/07/13 18:20
  • 名前: しろ (ID: I2Ema2Sn)


あの鳥は何処まで飛んでゆくのだろう――ふとアンナの頭に疑問が浮かぶ。
彼女の入院している院内には小さな中庭があった。
そこはまだ6m程の小さな木が一本だけ植えられただけの質素な中庭。
中庭には天井はなく、ポッカリと空いた天井から空より来客が訪れるのだ。
木の枝に止まり、綺麗な歌声を発する来客を彼女はジッと立ちながら見つめていた。

「……」
「どうしたんだい?そんなところでたそがれて」

 アンナは声のする方へ顔を向けることなく、ただジッと木を眺めている。
そんな彼女に苦笑いで応じるロキ。その手には小さな花束が握られていた。

「はい、どうぞ」
「……何、これ」
「何って……プレゼントだよ、プレゼントッ! 」

 ロキが半ば強引にアンナへと花束を手渡す。
色とりどりの花で造られた花束。花の甘い匂いがアンナの鼻腔に漂う。

「いい匂い……」
「そうだろ?それは僕お手製の花束だからね、いい感じでしょ? 」

 ロキが子供っぽく笑う。それを見て微笑む自分。
この人といるとどうしてこうも心が穏やかになるのだろう。
どうしても今の自分では理解できない感情に嫌になる。

「傷の具合はどうだい? 」
「んー……だいぶ良くなったかな? まだ痛むけどね」

 アンナがこの診療所に運びこまれてから1週間、傷の治癒もだいぶ進んでいた。
体中の擦り傷も後は少々残っているもののほぼ完治し、一番重症であった右足も、医師特製の包帯のお陰で傷口がだいぶ塞がっている。
歩行はやや不安定なものの、十分に日常生活を送れるほどにアンナの体の傷は治癒していた。

「そうかぁ、良かった。僕も責任感じてるからね」
「……責任感じてるんだね、一応」

 アンナは小さくため息をつく。

「そうだよ、責任感じてなきゃ君をここに連れてきたりしないよ」
「はいはい、分かりました」

 枝に止まっていた鳥が空へと羽ばたいてゆく。
まるで太陽のように赤いその鳥は、小さな鳴き声を上げながらアンナの頭上を飛び去って行った。
後に残ったのはアンナの頭上にヒラヒラと舞い落ちてきたその鳥の羽根。
アンナは足元に落ちてきたその羽根を拾い、後ろにいるロキへと手渡す。

「ん、なんだい……それ? 」
「羽根、花のお礼に」

 アンナから受け取ったロキは優しく頬笑み、一言ありがとうと返答し、腰につけているベルトに刺した。
その言葉にどこか心が火照るのを感じながらも、アンナはそれを顔に出すことはなく、頷いた。

「あっ、それとあと一つ、君に渡したいものがある」
「えっ? 」
「これ……君のだよね? 」

 ロキが差し出した右手には小さな人形。赤いドレスを身にまとった、ブロンド髪の長い髪をした女の子。

「あっ……」
「君が僕の背中で眠ってた時に落ちてきたんだ。寝てる君を起こすのも可哀想だったから、僕が預かってたんだけど……」

 アンナの手に渡された小さな人形。ニッコリと笑ったその顔を見た途端、アンナの視界がぼやけてゆく。
それは涙であり、抑えきれない感情があふれ出た結果であった。

「えっ!? どうしたのッ!? 僕何かしたッ!? 」
「……ち、違うの。そ、それお母さんが作ってくれた……や、やつで……な、失くしたかと思って……て」

 その小さな人形は、アンナの母親が彼女がまだ幼い赤ん坊の頃に作ってくれたもの。
赤いドレスも、ニッコリとした顔も所々が破れかけてており、ボロボロであったが間違いなく彼女の人形だった。
ロキは慌ててアンナの背中を摩りながら、懐から一枚の布を取り出しアンナへと渡した。

「ごめんね、そんな事とは知らなかったから……早く返しにくればよかった」
「ううん……いいの。わざわざありがとう」

 母親がどんな思いをしながらこの人形を作ってくれたのか、どんな思いでこれを幼き頃の自分に託したのか。
それをいずれ自分にとっていい日が来たときに聞こうと思っていたのに――母がいる前で自分の子供にこの人形を渡してあげたかったのに。
したくてもできない、聞きたくても聞けない――その想いから溢れ出てくる涙であった。
そんなアンナをロキはそっと自分の方へと抱き寄せる。

「泣きたいときはうんと泣けばいい。それが君の生きる力に変わるから」
「……ありがとう」

 この人の暖かさに初めて触れられた。
いつまでもこの人の暖かさを傍で感じていたい。何故そう思うのかは分からないけど――。
その為にも私は今を生き抜く――。
 

Re: 【3‐3更新】書き物的なもの【コメC返あり】 ( No.85 )
  • 日時: 2013/07/16 21:51
  • 名前: ランランル〜〜〜♪ (ID: .cCt8hYg)

んー、、、話の流れ的にアンナとレイはさいかいするのかな?するならどんなかたちでで再会するのか楽しみだぁ〜

もしかしてアンナはロキのことが、、、(*/□\*)

Re: 【3‐3更新】書き物的なもの【コメC返あり】 ( No.86 )
  • 日時: 2013/07/17 03:33
  • 名前: ゴースト (ID: d5dZqUDu)

以前「敵同士で再会する気がする」と書いたが、意表を突いてすれ違うばかりで結局最後まで再会しない、とかどうだろうか。

読者「レイ、後ろ後ろ〜〜!!」

Re: 【3‐3更新】書き物的なもの【コメC返あり】 ( No.87 )
  • 日時: 2013/07/17 17:35
  • 名前: しろ (ID: JBEM13iC)


>>85->>86
コメありがとうございます!
アンナとレイはいずれ再開します、近いうちに
ただその時に二人の立場は違うかもしれませんが…

アンナにとってのロキの反応が今後どのように変化してゆくのか…
そこもお楽しみに('∀'*)

Re: 【3‐3更新】書き物的なもの【コメD返あり】 ( No.88 )
  • 日時: 2013/07/21 12:08
  • 名前: 只 ◆9sSjKSOhi2 (ID: ke4bDj/Y)

支援上げ
大変かと思いますが頑張ってくだされ。

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